軽めの有酸素運動20~30分がちょうどいい

ここで大切なのは、“軽く”体を動かすということ。まったく動かさないのもよくないですが、やりすぎもよくありません。「ほどほど」が大事です。

どのぐらいが「ほどほど」かというと、一例として「『ゆっくり走る』『泳ぐ』という軽めの有酸素運動を20~30分すると、血行がよくなって、筋肉のこりがほぐれていく」と山田知生さんは紹介しています。

私がよく一般の方にアドバイスするのは、「隣の人と会話ができる程度の軽い運動がいいですよ」ということ。ハードな運動よりも、そのぐらいの軽い運動のほうが圧倒的に健康によく、健康長寿につながることがわかっています。

「幸せホルモン」は疲労回復にも効く

体を動かすことの大切さを「セロトニン」という脳内物質の観点から説明しているのが、『医者が教える疲れない人の脳』です。著者の有田秀穂先生は、セロトニン研究の第一人者で、セロトニンに関する本を50冊以上書かれています。

セロトニンとは、脳内で分泌される神経伝達物質のこと。感情や精神面、睡眠などの大切な機能を健全な状態に保つために重要な役割を担っていて、セロトニンの分泌が減ると元気や意欲がなくなったり、うつにつながったりすることから、「幸せホルモン」とも呼ばれます。

脳の疲れとの関連でいえば、自律神経の働きを調節してくれる作用があるので、セロトニンがしっかり分泌されると、疲れをやわらげてくれるともいえます。

脳の紙の切り抜き
写真=iStock.com/Sewcream
※写真はイメージです

有田秀穂先生が提唱する、セロトニン神経(セロトニンをつくり、脳内に分泌させる神経)を活性化する方法、すなわち「セロ活」の極意はシンプルです。

太陽の光を浴びること、そして、リズム運動をすること。リズム運動といっても、難しく考える必要はなく、リズムよく歩くことも、立派なリズム運動とのこと。ですから、スロージョギングやウォーキングのような“ほどほどの運動”は、脳内でセロトニンを増やして、疲れた自律神経の働きを調節する意味でも疲労回復におすすめです。