子供のコミュニケーション能力を育むために、親にできることは何か。明治大学文学部教授の諸富祥彦さんは「親は『何を話すか』ではなく『どう聴くか』が大切だ。子供は『ちゃんと聴いてもらえた』という経験が自信となり、自然と話し上手・聴き上手になる」という――。
※本稿は、諸富祥彦『男の子の育て方「結婚力」「学力」「仕事力」を育てる60のこと』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
コミュ力には失敗を重ねながらも説得を試みる勇気が必要
「東大に入るより、恋人を作るほうが難しそうな子がいますね。コミュニケーション能力に問題があるんです」
これは、東大合格者上位10校に入る名門私立男子中学・高等学校の校長先生の言葉です。エリート養成校といわれる学校でも、最近の男の子のコミュニケーション能力の低さが大きな問題になっています。
実際、私が教えている大学でも、授業中、質問しても黙って下を向いたまま「わかりません」とも言えない男子学生がいます。こちらがしびれを切らして別の学生に質問するまで、黙って下を向き続けるのです。
コミュニケーション能力は、就職や結婚を考える時期になったからといって、一朝一夕に身につくものではありません。子どものころからの積み重ねがモノをいいます。
仕事をするにも、女性を口説くにも、一筋縄ではいかない相手にあの手この手を使ってこちらの意図を伝え、失敗を重ねながらも説得を試みる勇気が必要です。
親御さんにできるのは、お子さんが他者とのコミュニケーションをおこなっていく機会をつくっていくことです。