子供の自己肯定感を育むにはどうすればいいか。明治大学文学部教授の諸富祥彦さんは「子育てで大事なのは、お母さんから惜しみない愛情を受けているかだ。子供の心の問題の多くは、『ペタペタ、チュ』とほっぺにキスしたり抱きしめたりすることで解消できる」という――。

※本稿は、諸富祥彦『男の子の育て方「結婚力」「学力」「仕事力」を育てる60のこと』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

公園で遊んでいるアジアの母と息子。
写真=iStock.com/kohei_hara
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お母さんとの「ラブラブ」が、男の子の「自信」を育てる

「毎日、ガミガミ怒ってばかりでイヤになります」
「いつも怒りすぎてしまい、子どもも私もヘトヘト。いったいどうしたらいいかわかりません」

教育カウンセラーとして、男の子をもつお母さんの悩みをうかがっていると、「この子を一人前に育てるために、厳しくしつけなければ」と、心を鬼にして子育てしている様子が目に浮かびます。

「ちゃんとしつけなければ」と思うからこそ、ガミガミ叱ってしまう。――これは、親御さんとしての責任感の表れでしょう。

でも、ハッキリ言ってしまえば、小学校に入るくらいまでは、しつけなど二の次でまったくかまわないのです。

息子さんが長い人生を幸せに送ることができるかどうかにとって最も大きいのは、6歳までに「ボクはお母さんから愛されているんだ!」と実感できるかどうかである、というのが私の実感です。

私は、子育てには3つのステージがあると考えています。

①ラブラブ期……0歳から6歳くらいまでの、いわゆる乳幼児期(生まれてから幼稚園・保育園まで)
②しつけ期……6歳から10歳くらいまでの、いわゆる児童期(小学生時代)
③見守り期……10歳から12歳以降、18歳くらいまでの、いわゆる思春期(小学校高学年から大学生くらいまで)

子育て、とくに男の子の子育てで最も重要なことの1つは、①のラブラブ期(0歳~6歳くらい)のときに親、とくにお母さんから「これでもか」というくらい、惜しみない愛情を受けることです。

惜しみない愛情を受け続けることで、はじめて男の子の心の中に「いざとなれば、お母さんがいる」という安心感が芽生えはじめます。そしてその安心感が土台となって、男の子はさまざまなことにチャレンジしていくことができるようになるのです。

その結果、男の子は「たとえ失敗しても、自分は世界から見放されることはない」「自分はがんばれる人間だ」という自信(自己肯定感)をもつことができるようになります。