会話の主役は子供。「教えたい気持ち」は脇に置く

家事で忙しいからと、お子さんの話をてきとうに聞き流してしまっていることはありませんか?

「練習がキツい? そんな泣き言を言うならやめちゃいなさい。お母さんはテニス部だったけど、けっこうつらい練習にも耐えてがんばったのよ」などと、自分の気持ちばかり先走ってしまうお母さんも少なくありません。

男の子のコミュニケーション力を育てるうえで大切なのは、親御さんが「何を話すか」ではなく「どう聴くか」です。

「ちゃんと聴いてもらえた」という経験が自信となるため、話すのをおっくうがらない子どもになり、自然と話し上手になっていくのです。

また、親御さんからきちんと話を聴いてもらえた男の子は聴き上手になっていきます。話を聴いてもらえるのがうれしいことだと、自分の経験から知っているからです。

●子どもより多く話さない

お子さんに「学校どうだった?」「お友だちと何して遊んだ?」と聞くのは、とてもいいことです。でも、多くの親御さんはそのあとがいけません。お子さんの返事が期待通りでないと、つい説教してしまいます。

肝心なのは、お子さんの話に対して、どう返していくか。あくまで会話の主役は子どもであると肝に銘じて、「教えたい気持ち」は脇に置いておきましょう。

子供のくやしい気持ちを一緒に感じて言葉にする

●子どもが話しかけてきたら、その場ですぐ聴く

親が「いま忙しいからあとで聴くね」という姿勢では、子どもの話したい気持ちは失せてしまいます。

「今日、こんなことがあった」的な話は、「へー、そんなことがあったんだー」と家事などをしながらその場で聴いてあげましょう。ただし、大事な話のときは手を止めて聴くことに専念します。

ここでてきとうに聞き流してしまうと、「せっかく大事なことを話しても親は聴いてくれない」とあきらめモードが身についてしまいます。

ソファに座っている悲しい少年
写真=iStock.com/baona
※写真はイメージです

●お子さんの言葉をていねいに「伝え返す」

お子さんが話した言葉をていねいに「伝え返す」のは、「リフレクション」と言って、代表的な心理カウンセリングの技法の1つです。どんな気持ちで話しているのかとらえて、「○○○だったのかな?」と伝え返していくことで、お子さんは「自分のことをわかってもらえた」と感じて、信頼感を築いていくことができます。

そんなこと、簡単だと思えるかもしれません。けれどもこれがやってみるとけっこう難しい。しかしこれを積み重ねていかないと、「良くわかってもらえた」と感じてもらうことはできません。

たとえば、「今日のサッカー、全然シュートが入らなかったんだ……」とお子さんがくやしそうに口にしたとしましょう。あなたはなんと答えますか?

「がんばらなきゃうまくなるわけないわよ。とにかく、練習しなさい、練習を。中途半端にやるならやめたほうがマシよ」

などと言ってしまっていませんか?

お子さんは、この母親にはわかってもらえないという絶望に近い気持ちを抱いて、心を閉ざしてしまうでしょう。

練習しなければならないことは、誰よりもお子さん自身がわかっていること。それでも、落ち込んだ気持ちをお母さんにわかってほしくて言っているのです。

こういうときは、

「そうなんだ、全然シュートが入らなかったんだ。くやしいね……」

とお子さんのくやしい気持ちをいっしょに感じて、それを言葉にしてあげましょう。お子さんは、「お母さんは、わかってくれる」と感じて、心を開き始めるでしょう。