中国・ロシア・イランを苦しめる食料インフレ

余談になるが、他国に目を転じると、ここのところスリランカ、イランなどでも大型デモが起きている。その要因は当然ながら、食料インフレがあまりにも厳しいからだろう。

権威主義陣営である中国、ロシア、イランなどでは早くも食料危機が訪れているのではないか。そんな印象を私は抱いている。

ここをどう乗り越えるのか。いまのところ、中国を初めとした権威主義国家は、国民の怒りをガス抜きする政策によって乗り越えようとしているように映る。

だが、これは本来の権威主義陣営の“流儀”ではない。逆だ。

イランなどは拒否しているけれど、権威主義陣営ではモラル警察を廃止することをチラつかせたりしており、行き詰まり感を垣間見せている。

それらの原因をつくったメインは、やはり食料インフレだと思う。

国民にとって、食えなくなること以上の苦しみはない。

他の自由や人権については我慢できるけれど、飢えだけはどうもならない。

今後、中国などでは社会不安が高まっていく可能性がある。

デモを主導する若い女性
写真=iStock.com/FG Trade
社会不安が高まっていく可能性がある(※写真はイメージです)

中国は米国に弱みを握られている

そしてこの食料問題に関し、中国は米国に弱みを握られている。

中国は農産物を毎年、米国から相当量輸入している。

中国は経済安保上、相手陣営に強く依存したくないはずで、本音では米国からはあまり買いたくないだろう。しかし、背に腹は代えられない状況になっている。