「投資の神様」ウォーレン・バフェット氏が日本株の追加購入に言及するなど、いま日本経済に注目が集まっている。エコノミストのエミン・ユルマズさんは「IMFやOECDの予測でも日本経済は2023年に先進国中もっとも強い経済成長率を打ち出すとされる。世界がインフレに苦しむ中、すぐ価格転嫁しない日本企業のやり方のほうが効率的だと世界が認め始めている」という――。(第4回)
※本稿は、エミン・ユルマズ『大インフレ時代!日本株が強い』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。
日本経済の見通しがよくなっている
『会社四季報』2023年1集「新春号」のテーマは「無人化」である。
毎年の新春号の特徴は、来期予想を見ながら2023年の相場を展望する号となることから、年4回のうちでもサプライズ企業を発掘しやすい。
今期(2022年10月期~2023年9月期)は前号(3か月前)時点の予想よりも営業利益は下振れしているものの、前期より大きく増加しており、23年は全体として強い相場になりそうである。
先進国の中でもっとも強い経済成長率を打ち出す
これは全体的なトレンドであり、実は2023年の日本経済の見通しは、どの先進国よりも強い。
IMF(国際通貨基金)が22年10月に出したGDP予想でもそうだし、その他の独立金融機関とかOECD(経済協力開発機構)が出しているものにおいても、基本的に日本は23年、先進国の中でもっとも強い経済成長率を打ち出すとされている。
業績予想全体をまとめてみると、今期は13.4%の増収になっている。今期とは2022年10月期~2023年9月期まで。前号(3カ月前)に比べると3.0%の上昇だ。
営業利益は15.9%増加しているが、前号比では5.5%下げた。
前号比でトップラインが増えているのに、営業利益が下がったのは、物価上昇によるコスト増の影響だろう。
つまり価格転嫁を進めてはいるものの、まだコスト増のほうが大きいことを示している。