太っている人は、本人の努力不足なのだろうか。医師の大脇幸志郎さんは「運動には減量効果がほとんどない。筋トレの効果も1カ月に1kg筋肉をつけるのがせいぜい。体型は遺伝などで決まっている可能性もある。体型で人を評価するのはくだらない」という――。
太っている人は「努力のできない怠け者」ではない
写真=iStock.com/kuppa_rock
太っている人は「努力のできない怠け者」ではない(※写真はイメージです)

「運動不足だと太る」はまちがい

スポーツの習慣はなく、仕事は主にリモート、買い物はAmazon、おなかがすいたらUber Eats……そんな生活がごくふつうになっています。

運動不足かなと思ってスポーツクラブに入会しても数回でやめてしまった人、がんばっているのにやせないと不平たらたらの人も、身近にいるのではないでしょうか。

では、現代人は運動不足で不健康になっているのでしょうか?

あなたの友達は病人ばかりですか?

運動不足だと太る、と思われる方が多いかもしれません。ただそれはたぶん、まちがいです。

運動ではやせません。ここでは医学研究を基に、健康のためのダイエットが工夫されてきた中で、運動があまり効果を出してこなかったことをご説明します。

ほとんどの日本人はやせる必要がない

そもそもダイエットのとらえかたが医学と日常生活ではかなり違います。

要点だけまとめると次のようになります。

・ほとんどの日本人はやせる必要がない。
・体重は増え続けるのが当たり前。
・ダイエットはリバウンドするのが当たり前。

順に見ていきましょう。

体重と死亡率の関係を調べると、いちばん死亡率が低いのは、BMI(体重÷身長÷身長、身長はメートルで表す)が23とか24の人です。

日本人男性の平均がちょうどそれくらいで、女性はもう少しやせていますから、医者はむしろ過半数の女性には「もっと食べて太りなさい」と言ってもおかしくないはずです。

また、BMIが30くらいの人の死亡率は、BMIが18くらいの人と同じです。やせているのが許されるなら太っているのも許されるはずなのです。

加えて、日本人でBMIが30を超える人は4%ほどしかいません。つまりほとんどの日本人は健康のためにやせる必要がないと言えます。