筋トレではやせない

筆者にはそもそも筋トレを1カ月続けるというのがけっこうな難題に思えるので、半年かけて筋肉量を3割増やせる人がどれくらいいるのか想像もつきません。

そんなに厳しく自分を律することのできる人なら、食事制限のほうが簡単ではないかとも思えます。

それはともかく、筋トレを長いこと続けて筋肉がついたとして、やせるでしょうか。

筋肉が1kgつけば、さきほどの消費エネルギーの計算で体重が1kg増えますから、じっとしていても毎日24kcal、5メッツの運動をすれば1時間あたり5kcal多く消費することになります。ダイエット効果としてはほとんど当てにできないくらいの差ですね。

しかもこの計算は筋肉のぶん体重が増えたと仮定しています。体重を減らすのが目標なら、筋肉が増えたぶんを上回るほど脂肪を減らさないといけないわけですが、それは前述のとおり難しいことです。

運動そのものによる消費カロリーは小さく、筋肉量が増えてもやはり小さいので、脂肪を減らす方法は食事制限しかありません。すると筋肉量維持にはマイナスに働くかもしれません。タンパク質ばかり食べたとしても両立はかなり難しそうです。

ダイエットの最中からリバウンドは始まっている
写真=iStock.com/mapo
ダイエットの最中からリバウンドは始まっている(※写真はイメージです)

ダイエットの最中からリバウンドは始まっている

さきほど挙げた実験結果を再掲しましょう。

・食事療法だけで2.3~16.7kg減。食事療法+運動療法で3.4~17.7kg減。平均差は1.1kg。
・弱い運動で0.1kg増~6.3kg減。強い運動で1.3~8.9kg減。平均差は1.5kg。
・食事療法+弱い運動と食事療法+強い運動の比較では差がない。

強調しておきますが、ダイエットを続けている最中にリバウンドはすでに起こっています。ここに挙げた1.1kgの差とか1.5kgの差は積み上がりません。どんどんリバウンドし、なかったことになります。

ほかの研究でも、報告された数字は数カ月程度に区切った研究期間だけのものです。つまり、減量効果が最大になったタイミングに近いものです。長期的にはその効果が失われていくと考えられます。

ということは、運動による1kgあまりの差も、全体として体重が元に戻っていく中で、すぐに見えなくなるはずです。