運動が強いか弱いかで減量効果に差はない

では運動量を増やせばいいかというと、それも違うようです。

強い運動療法と弱い運動療法の比較も同じ調査で見つかっていて、強い運動療法のほうが1.5kg多くやせており、強い運動で1.3~8.9kgの減量、弱い運動だと0.1kg増量から6.3kg減量でした。

ただ、ここでも個人差のほうが大きいし、運動療法中に体重が増えることもあったわけです。

さらに、食事療法+弱い運動 vs 食事療法+強い運動というデータも見つかっています。

こちらはデータの質が低いとして結論には採用されていないのですが、食事療法と同時であれば、運動が強いか弱いかで減量効果に差はないという結果でした。

ダイエット効果を決めるのは食事療法
写真=iStock.com/vadimguzhva
ダイエット効果を決めるのは食事療法(※写真はイメージです)

そもそも体重は減らせない

こうして見比べると全体像がわかってきます。

・そもそも体重は減らせない。減らせても少し。
・ダイエットの効果は個人差が大きい。平均的にはわずかな効果しかない。
・ダイエット効果を決めるのは食事療法。運動を上乗せしても差は小さく、どんな運動でもあまり変わらない。

つまり、食べるのをやめられない人が運動でなんとかしようという考えには無理があるのです。

先に挙げた減量効果の数字を見て、「それでも運動で減っている」と思う人もいるかもしれません。

ただ、そういう人は、この数字はもともと肥満治療の研究だということを思い出してください。50kgの人が1kg減らすより、100kgの人が1kg減らすほうが簡単です。だからこの数字も大きめに出ているのです。

そもそも太っていない日本人は、この数字をさらに割り引いて考える必要があるのです。