ゆるふわ男子ここにあり
ということで、再びゆるふわ倫也の話に戻る。ゆるふわの権化とも言える名作がある。
イベントオーガナイザーで人たらし、周囲からは“メンヘラ製造機”と呼ばれる男・安良城ゴンを演じたのが「凪のお暇」(2019年・TBS)である。
ヒロイン(黒木華)と元彼(高橋一生)の間にうっかり入って、飄々とマイペースにかき乱す間男的存在を好演。床上手である点も妙に説得力があった。
また、映画「台風家族」(2019年)では、遺産争いを繰り広げる4人きょうだいの末っ子を演じた。
草彅剛、新井浩文、MEGUMIという濃くて業の深いきょうだいたちの中で、ひとりだけゆるふわのフリーター。遺産を巡るみっともないきょうだい喧嘩を勝手に生配信して、YouTuberになろうと目論んでいる。
殺伐の中にほっこり。そういえば三男が出てこないなと思ったら倫也が登場したので膝を打った。
「型」にはめられないことを願う
人気&主演枠に入ると逆に、検事とか探偵とか社長とか弁護士とか、演じる役の職業が急に狭められてしまうのが日本のテレビドラマの宿命。
ゆるふわもアングラも変幻自在の倫也が「型」にはめられてしまうと、ちょっともったいないなとは思う。
また、実生活で結婚すると、急に父親役をやらされそうな懸念もあるが、いつまでも型にはまらず、ふわっふわと浮遊するタンポポの綿毛のような俳優でいてほしい(本人がそう言っていたので)。
怖い都市伝説を思い出して眠れなくなり、シャワーを浴びられなくなるビビリでいてほしい(本人がそう言っていたので)。