部下に「答え」を求める質問をしてはいけない

念のためお断りしておくと、これは、すべての仕事に対して、常に部下に報告を求めろという意味ではありません。あくまでもリーダーとしてチームの全体像をつかむために、フォロワーの仕事にも関心を持ち、その内容を把握しておくということです。全体像がわからないと心の立ち位置も決まらないと思います。

リーダーがチーム内のすべての仕事を把握しておくのはチーム力アップの必要条件ですが、その上で十分条件として、フォロワーのモチベーションが上がるよう、コミュニケーションの仕方も工夫する必要があります。

ミッションコマンド型のフォロワーを育てるにあたって、フォロワーとのコミュニケーションで特に注意すべきなのは、彼らに「答え」を求める質問をしてはいけない、ということです。

例えば次のような質問です。

「この問題の解決策を述べよ」
「この問題の解決策は、この方策(一例を示して)でよいと思うか?」

この質問はリーダーがフォロワーに「答え」を求めてしまっています。さらに2つ目の質問は、英語で言えばクローズドクエスチョンであり、○か×で答える質問です。

クエスチョンマーク
写真=iStock.com/akinbostanci
※写真はイメージです

引き出すのは、模範解答ではなく「意志」

日本人の大半は、社会に出るまで、学校教育や受験勉強で「答えを当てる問題」に取り組んできました。だから、「問題には決まった答えがどこかにある」という発想になりやすく、リーダー(上司)がフォロワーに答えを求める質問をしてしまうと、反射的に一生懸命答え(往々にして上司と同じ考え)を当てようとするか、過去の事例を探すなどして模範解答を答えようとしてしまいます。

他の場合はいざ知らず、少なくともミッションコマンド型のフォロワーを育てるには、そうした学校教育の延長上にある「答え当て」に導いてしまうような質問は向いていません。

その代わりとして私がお勧めするのは、フォロワーの「意志」を求める質問です。

例えば次のような質問です。

「君、この状況をどう思う?」
「君ならどうする?」
「なぜ君はそうするのか?」
「君の目的は何か?」
「君がその目的を達成するためにはどうすればいいか?」