子どもを超難関の私立高校に進学させる

真希さんの息子は、首都圏の超難関有名私大の付属高校に通っている。

高校卒業後は、確実に日本で1、2を争う有名私大に進学できるという、まさにエリートの道を歩んでいるわけだ。これは本人の優秀さだけでは、叶えることが難しい道でもある。学力・学歴と経済力に相関があることは、教育格差が叫ばれた当時から指摘されている。

真希さんは子育てに関しては、元夫を反面教師とした。息子を元夫のような「サッカーしか知らない」人間には、育てたくなかった。

父への憧れからか、息子は小学生の頃からサッカーを始め、中高でもサッカー部に所属した。しかし、真希さんは年中、サッカー漬けにすることを避けるため、夏休みなどの長期休暇には、子どもをワークキャンプに参加させた。

さまざまな場所で、多様な経験をして欲しいという思いと、子どもがいなければ自分が仕事をできるという事情もあった。

こうして息子は、幼い頃からさまざまな「文化資本」を体験することになった。このことが難関高校入学への道を開いた、一つの要因となったとも言えるだろう。

「冬休みと春休みはスキーに行かせて、夏休みはサマーキャンプに3回ぐらい行かせました。4泊5日ぐらいで、5万円ぐらいかかるものが多かったですね。その間、私はずっとお店に行って働けるので、問題はなかったです」

中学では、自治体が主催する海外留学に、学校推薦で選ばれた。

「留学のための研修が10回ほどあって、部活を休まないといけないので、息子は文句を言うのですが、私は『部活に全部の時間を使うのはもったいない、よくないよ』と、息子に言い続けました」

結局、この海外での体験が受験時の面接で活きることにもなった。

受験にあたってはもちろん、学習塾に通わせた。

「小学生のときはサッカーばっかりやっていたのですが、中学1年の終わり頃から塾に行くようになりました。中3で受験のために選んだ塾は高かったですね、費用が。中3の1年間だけで、テキスト代、交通費、模試代など全部含めて、100万円以上、かかっています」