立地も広さも中途半端な物件は難しい

まず、都内にお勤めの方は、急行の止まらない不便な駅から歩いて20分もかかる家を賃貸物件の候補にしません。そんな環境にありながら、広さがあるので家賃も格安というわけでもない。かといって、3人家族が暮らすには55平米では若干物足りず、一人暮らしには広すぎるという中途半端さ加減。まさに「帯に短し襷に長し」です。

赤塚さんは、自分が住むこともできず、利益も生まないこの家に毎月7万円のローンと修繕積立金や管理費、固定資産税、不動産会社への管理費などを含めて毎月10万円以上を払っていました。

不幸中の幸いと言うべきか、新婚生活はとても順調らしく、お子さんもまもなく産まれるご予定ということで、これを機に処分するか、なんとしても借り手を見つけたいということでした。

結果的には、基盤が埼玉にある賃貸に強い不動産会社に乗り換えたことで借り手が見つかりましたが、家賃は希望額とはいかず、現在、9万円で貸し出しているということです。利益が出ない金額なので今は売却を検討していますが、先ほどの中途半端さゆえに、売却も苦戦が予想されます。

家を買いたくなったときに確認すべきこととは

今回私が赤塚さんのエピソードをご紹介しようと思った理由は、20代、30代という「若年層のライフスタイルの変化」と「資産形成」についてお伝えしたいと思ったからです。男女問わず結婚や同棲などが現実的になってきた場合、生活が大きく変化する可能性があるので、まずはパートナーと将来設計についてきちんと話し合いましょう。

「当たり前でしょ?」と思うかもしれませんが、学生時代のノリのままお付き合いをしている中、赤塚さんのように突然、自分好みの物件に出会ってしまうこともあります。その時、互いが希望するライフスタイルとのすり合わせなしに購入してしまっては、維持が難しくなります。

加えて、家を買うときは「この家が売れるか?」「借り手がつくか?」も一緒に考えること。つまり、「出口戦略」を持って臨むことが必須です。たとえば狭いワンルームでも都心の駅から徒歩数分なら借り手がつきやすいですし、郊外であっても学園都市はファミリー層に人気なので売れやすい、といった感じです。