3年前に結婚し「財布は別」で生活してきた50歳前後の子なし夫婦。それぞれの月の収支を確認すると、収入はほぼ同じなのに月の黒字額は7倍の差、貯金額は6倍という“資産格差”が。2万件超の家計相談に乗ってきたFP横山光昭さんは「こうした夫婦間格差は、家計危機のみならず、夫婦のすれ違いをも生みかねない」と指摘する――。
お財布
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「お金の話ができない夫婦」が結婚3年目に直面した壁

今回相談に訪れたのは、共にアラフィフで結婚(初婚)した共働きの夫婦。子供のいないDINKsです。手取り世帯年収はボーナス込みで833万円ですが、将来に不安を感じ、家計の見直しを求めて来られました。

初回相談では、口数が少ない夫(54)の代わりに、妻の佳代さん(仮名・47)が現状を話してくれました。

「結婚して3年。これまで家計は、家賃(各6万円)と水道光熱費(各1万7000円)は折半、それ以外は完全にお財布を分けていました。最初の一時期は独身気分で楽しくやってこられました。それが昨年は私に更年期症状が出てきて、仕事をセーブしたため収入が月約10万円減った時期がありました。そのときから、わが家の将来のお金の不安を抱えてきたんです。

例えば、夫は高額な生命保険に入りっぱなし。保険も投資も無頓着な様子で心配です。私もお金の管理が苦手で、あればあるほど使ってしまいます。このままいくと、老後が心配で……」

せきを切ったように話す佳代さん。今回の相談も、不安にさいなまれた佳代さんが、「私だけじゃ理解できないから、一緒に来てくれるととても心強い」と夫を誘い、来店に至ったそうです。確かに、このまま互いの家計や資産状況を知らないままでは、何かあったときのリスクは甚大です。

晩婚夫婦こそ家計危機に陥りやすいワケ

実は晩婚夫婦にはこうしたケースが少なくありません。多くの夫婦は、最初は別家計でも、出産や不動産購入などのターニングポイントで家計を見直す機会ができます。ですが、晩婚夫婦の場合、出産を望まなかったり、互いに不動産を持っていたりして、話し合うきっかけがつかめないことが多い。

それでもどちらかが思い切って口火を切れるならいいですが、このケースは夫が多忙である上、控えめな性格。妻は妻で自分が使っている後ろめたさがあり、お金の話ができませんでした。

それだけに、今回結婚3年目にして思い切って各自の“財布”をオープンにできたのは、夫婦にとって大きな改革といえます。