家計を一つにした結果、黒字額は18万円超に
結果、この夫婦の毎月の余剰分は、合わせて18万3000円。非常に大きな額です。
この18万円をどうするか。まず始めたのは、ゼロからの貯金です。婚前の貯金はそれぞれの持ち分としてカウントせず、今回加わった余剰分とともに、毎月の黒字を“2人の貯金”としてスタート。
当座の目標は、1年間分の生活費を500万円貯め、住宅購入に向け頭金1000万円を貯める。そのあと、全力で投資する計画です。
ただ、老後を見据えると、今から長期で積み立て投資をしないと間に合いません。そこで、2人で非課税限度額いっぱいに月6万6000円のつみたてNISAを開始。10年20年と、時間を味方にして増やしていくことが目的の積立投資ですから、今から始めれば年金生活が始まる60代、あるいは70才にはそれなりの老後資金になっているでしょう。
今回の成功要因は、これまでクローズだった各自の家計をオープンにして、共有できたこと。これに尽きます。
家計を分けるリスク、共有するメリット
では、もし互いに家計を“ブラックボックス”にしたまま老後に入っていたらどうなっていたか。さまざまなリスクが考えられます。
まず、「片や節約をがんばっていて、片や使いたいものに使いたい放題」。その状態に、がんばっている方は不満を募らせます。さらに老後、自分が我慢して貯めてきたお金を使いたい放題の妻に使われるようになれば、ストレスは限界に達するかもしれません。
実は夫は、そろそろ投資を始めたかったものの、妻の使い方に不安を覚え、ただただ貯めるしかなかったと打ち明けてくれました。妻に話したくても、お互い多忙な上にどうしても夫が控えめな性格ゆえに、言い出せなかったそうです。
一方、妻は妻で、体調不良で収入が下がった時にも家賃や光熱費が折半のまま、負担が重かったことが引っかかっていた。だけど、自分も使っているという後ろめたさがあり、指摘できず、モヤモヤを抱えていました。
私に言わせれば、互いのこうした不満はいつか爆発します。お金の話ができない夫婦はこうした時限爆弾を抱えているんです。
ゆえに、今回の家計共有は、長く良好な関係を続けるうえで、必要不可欠なステップでした。お互いに家計を一つにすることで、「2人でがんばってムダを見直そう」という連帯感も生まれ、生命保険や食費、通信費など意見を交わしやすくなります。今回も、腹を割って話してみれば、実はお互い、自炊して一緒に食事をしたいという思いもあったようです。お金の話をすることで、夫婦の関係性も変わってくることもあります。
何より、お互いになにかあったとき、助け合うことができます。今後、またどちらかが体調を崩すなどして家計の危機に陥ったとき、スリム化した家計で生まれた貯金で補えるでしょう。財布の共有で生まれるメリットは、共有しないデメリットを大きく上回るといえます。