受験に向かない子は「勉強が嫌い」「我慢が苦手」
近年、首都圏では中学受験人気が過熱している。2008年のリーマンショック後、一時期減少傾向が続いたが、大学入試制度改革の不安などから2016年を境に増加。2020年にはついに4万人の大台に(2月1日午前受験者数)。その後、コロナ禍でも増加が続き、直近の2023年は4万3000人(同)を超えた。
昔は中学受験といえば、母親と子供の二人三脚が主流だった。私が家庭教師として訪れる家も、ほぼ専業主婦の母親だった。ところが今は、共働き家庭の中学受験が非常に増えている。中学受験の勉強は小4から進学塾に通い、そこから3年間かけて準備をするのが一般的だ。晴れて合格した場合、私立中高一貫校に6年間通うことになるため、それまでの塾代と学費を合わせて相当のお金がかかる。これを父親一人だけの収入でやりくりするのは大きな負担になるが、母親の収入もあると家計に余裕が持てる。
また、今はコロナ禍でリモートワークが増え、家にいながら仕事と受験のサポートができるようになった。こうしたことから、共働きだから中学受験に不利になるということはほとんどない。やらせたいと思えば、挑戦させてみていい。
ただ、受験をするのは子供だ。子供にその気がなければ、進めていくのは難しい。低学年の子供を持つ親たちから「うちの子は中学受験向きですか? 高校受験向きですか?」という質問を受けることがしばしばある。中学受験に向かなければ、高校受験にしておく、という考えなのだろう。
結論から言ってしまうと、中学受験に向かない子は、高校受験でも苦労することになる。そうなると当然、大学受験も苦戦必至となるケースは少なくない。厳しい言い方だが、受験に必要な素地が育っていない子は、どの受験にも向かない。毎日学習する習慣を身につけた子、ちょっとした我慢をして勉強に取りかかれる子、新しいことを知ることに楽しみを感じられる子、そのような子はどの受験であっても乗り越えていける。つまり、小学校までの子供を親が家庭でどのように育てるかが重要なカギとなる。
受験に向いている子は、本人の現時点での学力はさておき、「わかりたい」という気持ちが強い。また、極端に負担が大きすぎない限り、決められたことはコツコツとやる。それさえできれば、中学受験でも、高校受験でもどちらでもいい。