「改善しよう」というモチベーションをどう上げるか

ポイント③ 数字を入れるなど、できるだけ具体的に話す

単に「ここがあまり良くなかった」とだけ言われても、部下は「そんなことはないはず。こちらはちゃんとやっている」と、なかなか納得できません。足りないところを指摘するときは、できるだけ具体的に、可能な限り数字を盛り込んで表現しましょう。

たとえば「このサービスの成約率から逆算すると、アポの件数は週○件は必要だ。あなたはそこに達していないので、10件ぐらいは増やしてほしい」「あなたはいつも、提案書の作成が間に合わないので、締め切りの3日前にはドラフトを私に見せられるように進めてほしい」など、ある程度目安となる数字を入れて話すと、部下も自分の行動をどのように変えればいいのかがわかりやすいので、改善しやすくなります。

ポイント④ 「改善するとこうなる」という未来の姿を見せる

仕事に対してモチベーションがあまり高くない人は、仕事を頼むと「仕事を押しつけられた」と感じがちです。上司から指示された仕事をすることで、自分にどんなスキルが身に付き、それが将来どう生きるかが想像できず、ただ「面倒なことを押しつけられた」としか思えないのです。

目の前の仕事と、自分の未来の姿のつながりがイメージできない、想像力に欠ける部下に対して改善点を伝えるときには、「それを改善すると、自分にどのようにプラスになるのか。周りにどんな影響があるか」といった、未来の姿を見せるようにしましょう。

たとえば、「困ったことがあったら、もっと早く相談するようにしてくれると助かる。早いほうが、打ち手の選択肢が多いし、あなたもそうした選択肢をたくさん学べるのでプラスになると思う。困ったときの打ち手の選択肢をたくさん知っていれば、将来チームメンバーや後輩にそれを教えてあげることができるので、頼りになるリーダーになることができるはずだ」などです。

部下に仕事を頼むときも同様です。「○日までにA社へのプレゼン資料を作っておいて」だけでなく、加えて「業界トップのA社の契約がとれたら、同じ業界の他社への影響は大きい。きっと同業のほかの会社もわが社のサービスに関心を持つから、契約が取れやすくなり、事業をスケールアップしやすいはず」と、未来を見せてあげましょう。

さらに、「あなたはいつもお客さまが関心を持ちそうなポイントを押さえた、いい資料を作るから、あなたにお願いしているんだよ」と「なぜあなたに頼んでいるのか」という理由を伝えると、なおいいでしょう。単に「資料を作れと言われたからやる」のではなく、「私を選んで頼んでくれた」「この仕事で頑張れば、自分にも会社にもプラスになる」と思えるため、モチベーションにつながります。