高野連が発表した「異例の声明」
試合が終わってから、東北高校の佐藤洋監督は
「なんでこんなことで、子どもたちが楽しんでいる野球を大人が止めるのかな。ちょっと嫌というか。変えた方がいんじゃないのかなと。ちょっと思いましたね」
と話した。
この発言が大きな反響となったことで、日本高野連は同日中に異例の声明を発表。
「高校野球としては、不要なパフォーマンスやジェスチャーは、従来より慎むようお願いしてきました。試合を楽しみたいという選手の気持ちは理解できますが、プレーで楽しんでほしいというのが当連盟の考え方です」
小さな出来事だが、これは、今の高校野球、日本球界の残念な状況を象徴している。
WBCの驚異的な視聴率
今回のWBCは、1次ラウンド4試合と準決勝の試合すべてで世帯視聴率が40%を超えた。3月16日のイタリア戦は48%。これは1994年10月8日の中日―巨人戦でフジテレビが記録した48.8%に匹敵するプロ野球中継史上屈指の数字だ。
29年前、プロ野球は「ナショナルパスタイム」であり、多くの国民が「夜は巨人戦のナイターを見る」という視聴習慣を持っていた。しかし今、プロ野球中継の地上波視聴率は5%ほど。プロ野球を全く見ない国民が大半を占めるようになっている。そんな中でのこの数字は驚異的だ。
日本球界は、こぞってこの「WBCブーム」に乗って、退潮久しい日本野球の人気挽回に取り組むべき時なのだ。事実、この日、日本高野連の宝馨会長は開会式のあいさつで
「(WBCの)日本代表チームは大活躍しており、野球熱は最高潮に達していると思います。世界でも何億人という方が、このボールに注目しています。みなさんどうぞ頑張ってください。今日からは高校野球の番です。みなさんの出番です」と言った。WBCとの連動を口にはしているのだ。
しかし、同時に日本球界では「プロ」と「アマ」は、今も高い壁で遮られている。