101歳まで生きた父親

2021年8月に100歳を迎えた日、親戚一同の前で、父親は「あと10年生きたいと思います! 神様にお願いします。娘に迷惑かけんように生きていきたいと思います! Thank you very much!」とあいさつした。だが、翌年8月には新型コロナに感染し、4日間何も食べられなくなり、馬場さんが保健所に電話すると、「呼吸ができていれば自宅療養です」と言われる。

しかし5日目の朝、明らかに元気がなくなっていたため、馬場さんは救急車を要請。幸いすぐに到着し、入院。父親は肺炎を起こしていた。1カ月ほどで完治し、退院すると、父親は食欲が激減していた。

98歳くらいの頃から血尿が出始め、前立腺がんと診断されていたが、血尿止めの薬を処方される程度。99歳の頃には右足大腿骨を骨折し、人工骨頭置換術を受けた。入院生活ではリハビリをしなかった父親だったが、退院後、スパルタなデイサービスのおかげで、介助があれば10歩ほど歩けるほどに回復した。

介助されながら、歩行器で歩くシニア
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
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馬場さんは、「フェニックスだ!」とたたえた。

だが2022年12月。父親は風邪をこじらせ、食べられなくなる。不安になった馬場さんは救急車を要請。病院に運ばれて点滴を受けたが、すぐに帰宅するよう言われる。入院をお願いするも、コロナ禍で受け入れてくれる病院はなく、結局自宅に戻った。その翌日、父親は亡くなった。101歳だった。

2023年1月末に四十九日を終え、同じ月に母親が誤嚥ごえん性肺炎で入院。2月には退院したが、入院生活で寝たきりになってしまったため、ケアマネジャーと話し合い、「自宅介護は難しい」という結論に。そして、現在息子が勤務している介護施設に入所が決定。

「いろいろあった10年でしたが、母は、大好きな孫のいる施設に入れて、私は息子から、日頃の施設での母の様子も聞けるので、結果的には看護師ではなく、介護士になってくれて、ありがとうと思ってます。やっと私も解放された気持ちになりました」

馬場さんは時々、息子が荒れていた頃のことを「あの頃には絶対に戻りたくないね」と茶化して話す。すると息子は、「あ〜すまん! 俺も、若かったし!」と頭を下げるという。