続いて「人との関わり方」については、4つの要素とされています。

●社内対応
経営層・上司・関係部署に対する納得感の高いコミュニケーションや支持の獲得の仕方
●社外対応
顧客・社外パートナー等に対する納得感の高いコミュニケーションや利害調整・合意形成の仕方
●上司対応
上司への報告や課題に対する改善に関する意見の述べ方
●部下マネジメント
メンバーの動機付けや育成、持ち味を活かした業務の割り当ての仕方

仕事は1人ではできません。経営層、各部門長、部署内メンバーや部下に加え、プロジェクトワークとなればプロジェクトマネージャーや部門を超えたチームメンバーとも仕事をします。またクライアント企業、アウトソーサーなど外部のステークホルダー各社や監督官庁とのやり取りも日々行っているのではないでしょうか。

こうした多様な「人との関わり方」を遂行する力は、どこにでも活かせる汎用かつ万能スキル、「ポータブルスキル」なのです。

一見、「え、こんなの毎日やっているよ?」というような日常業務ともいえるでしょう。

私たちは、このような強大な力になるだろう
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仕事力は「スキル」×「経験」

もちろんこれ以外にも、経理や広報、プログラミングやITスキル、プロジェクト管理などの立派な名前がつく「スキル」の研鑽が望ましいのは自明ですが、そうした「これ!」といったスキルが現在なかったとしても、「自分にはポータブルスキルがない」と思い込む必要はないのです。

ややこしい上司の意図をつかみ、理解し、モチベーションがダダ下がりの部下を鼓舞し、悩みを聞いて伴走すること、自分たちが直面する真の課題は何なのかを知り、情報を集め分析すること、課題を経営層に訴え、人的・マネー資本を獲得し、説得力のある資料を作成すること……、こうした一つ一つの能力は地味ながらも、他社でも十分通用する「ポータブルスキル」となります。

仕事力は、持てるスキルと経験の掛け合わせです。複数の「できること」を掛け合わせてこそ、他者にはない自分だけの強みを持つことができるのです。転職や副業・兼業を重ねていけば、あなたの“履歴”には新たなスキルや分野が書き込まれていくでしょう。

次のステップや新たなステージに到達するための、自分だけの大切なチケット。それが「ポータブルスキル」です。