「浅草の雷門、観光客大勢で驚いたよ」への正しい応答は

本書の特徴は、すべての項目が「三流は○○をする、二流は△△をする、一流は××をする」という形式で書かれていること。自分の聞き方を振り返り、時には反省しながら、一流のテクニックを学べる仕立てとなっています。

松橋良紀『聞き方の一流、二流、三流』(明日香出版社)
松橋良紀『聞き方の一流、二流、三流』(明日香出版社)

例えば意見を言うとき、三流は相手より先に言い、二流は相手と同時に言い、一流は常に後出しをします。一流が後出しをする理由は、相手のニーズをきちんと聞いてから、要望に合わせた提案を口にするためです。

初対面の人と話すときには、三流は社交性がないのは生まれつきだといい、二流は何を話したらいいかわからず、一流は相手の話をおもしろがって聞きます。一流は、自分が話すよりも相手に“しゃべらせること”に重きを置き、相手の話をじっくり引き出すのです。

「この前の日曜日、浅草の雷門に行ったら、ものすごい数の観光客でびっくりしたよ」

そう話しかけられたとしたら、あなたならどう対応しますか。

著者によれば、三流は「雷門には3年前に行ったよ。すごく混んでて、外国人ばっかりだったよ。そうそう、ほおずき市をやっていて、でかいのを買って帰ったら、1カ月くらい飾れてびっくりしたのを思い出すなあ」などといつの間にか自分の話を始めてしまう。

二流は、よかれと思い相手に質問を浴びせます。

「私、ゴルフが趣味なんですよ」と話しかけられたとします。これに、「へえ、月にどれくらいコースに行かれるんですか?」「よく行かれるコースはどちらですか?」と相手の話を奪いはしないものの、自分が聞きたい質問ばかりして、実は相手の話したいことを邪魔してしまうのです。「質問をするのはダメなの?」と疑問に思う方もいるでしょう。一流が質問をしない理由は、質問が話の流れを止めてしまうからです。

一方、一流はどうするか。オウム返しをしてじっと待つのです。「日曜日、浅草の雷門に行ったら、ものすごい数の観光客でびっくりしたよ」と言われたら「へえ、ものすごい数だったんだ?」と返して、相手が言いたいことを言い切るまで待つ。聞きたいことがあるなら、その後に質問すればいいのです。

著者の松橋良紀氏は「話し方よりも聞き方を磨く方が、ビジネスでもプライベートの関係でも、即効性が高い」と語ります。あなたも本書で自分の聞き方レベルをチェックし、よりよい人間関係を築くためのヒントを得てみませんか?