「LGBTのことは面倒くさそうでよく分からない」「LGBTは自分には関係ない」と考えてはいないだろうか。明治大学の齋藤孝教授は「すでに『昭和の常識は、令和の非常識』となっている。時代に合わせて常識をアップデートしていないと、思わぬ差別や人権侵害をしてしまいかねない」という――。

※本稿は、齋藤孝『もっと想像力を使いなさい』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

プライドイベントに参加するバイセクシュアルフラッグとプライドフラッグに包まれた3人組
写真=iStock.com/Vladimir Vladimirov
※写真はイメージです

「昭和の常識」は「令和の非常識」

私は昭和35(1960)年生まれですが、「昭和の常識」は「令和の非常識」という表現が冗談ではないことを日々実感しています。

例えばLGBTについてです。法務省ウェブサイトにも詳しく説明がありますが、LGBTとは性的指向である「Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)」、「Gay(ゲイ、男性同性愛者)」、「Bisexual(バイセクシャル、両性愛者)」と、性自認の「Transgender(トランスジェンダー、身体の性と心の性の不一致)」の頭文字を取って組み合わせた言葉で、性的少数者(セクシャルマイノリティ)を表す言葉の一つとして使われています。

かつてLGBTの人たちは、いわゆる“普通とは違う人”という見方をされていました。しかし現代では、そのように見てしまう人の方が、偏見を持っている“普通とは違う人”になりつつあります。

アップデートされていないパソコンのようなもの

こうした性の問題は生物学的・本能的なものであり、絶対的なものと思われてきましたが、それも時代によって変化するということがはっきりしたわけです。

現代はもはや、「LGBTのことは面倒くさそうでよく分からない」「LGBTは自分には関係ない」ということは通用しません。

それは、例えるならアップデートされていないパソコンのようなものです。更新プログラムをインストールすることを怠っているパソコンは、新たなネット環境に対応できなかったり、ウイルスの攻撃を受けたりしてしまいます。それと同じで、常識をアップデートしていないと思わぬ差別や人権侵害をしてしまいかねません。