転職し、新しい仕事に恵まれたBさん

Bさんは20代後半の女性社員でした。昨年のコロナ禍、4月下旬に体調不良を上司に相談し、そこから産業医面談を紹介されました。

その年の1月に転職してきたBさんは、上司いわく、新しい仕事にも順調に適応してきているとのことでしたが、本人に聞いてみると、前の職場はコロナ禍でも出社がほとんどだったのに、今の会社はリモートワークが主体で、3カ月たってもまだ慣れてきたという実感がもてないとのことでした。

無事に試用期間は終わったものの、その後、原因不明のめまいや頭痛などを感じるようになり、休日も家で一人で過ごしていると急に涙が出てきてしまう、仕事でも最近はミスが増えたと感じ、今まで以上に緊張感を持ってやっているとのことでした。いつから症状があるのか聞くと、3月下旬に試用期間が無事終わるとわかり、同時期に引っ越しをしてパートナーと同棲を始めてからとのこと。

仕事に不満やストレスはなく、同棲は楽しいはずなのにこのような症状があることで、余計に悩んでしまっていると打ち明けてくれました。

泣いている女性
写真=iStock.com/yamasan
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慣れない仕事環境が心身不調の原因に…

特に明らかに嫌なこと=ストレスがなくても、人は新生活、慣れない仕事環境で過ごしていると、誰でも意識せずとも疲労をためすぎてしまいます。そして、知らず知らずにたまりすぎた疲労の蓄積で心身の不調を呈します。それが、心や身体、行動に症状として現れます。

このうち、本人にとって一番わかりやすいのは身体症状(不眠、食欲低下、頭痛やめまい、動悸や冷や汗など)で、わかりにくいのが精神症状(やる気が出ない、おっくう、不安、イライラ、憂鬱ゆううつなど)。また、他人にわかりやすいのは行動に出る症状(お酒やタバコの増加、遅刻や早退、会話の減少など)です。

特に職場では、遅刻、早退、欠勤が増えたりします。集中力が低下してミスを多発したり、仕事の結果を出すのに時間がかかるため、時間外労働や休日出勤が増えたりします。また、ほうれんそう(報告、連絡、相談)が減ったり、職場での仲間との会話が少なくなったりすることもあります。

しかし最近は、テレワーク環境で、同僚から気づいてもらえる機会は激減しました。また、転職したばかりなどの時は、周囲がいつものあなたを知らないから、なおさら気がついてもらえません。