<このままではウクライナ東部の大攻勢は不発に終わる。支配地域を広げるためには徴兵による大規模動員が必要だ:ブレンダン・コール>
ロシア軍は、ウクライナ東部で多くの人員を喪失しており、これが同地域で一気に攻勢をかけたいロシア軍の作戦に影響が出始めていると、複数のイギリス国防省幹部が語った。
イギリス国防省(MOD)は日次報告で、ロシア側に多くの死傷者が発生していると指摘。特にドネツク州のバフムトやウフレダールでこの傾向が強く、「『精鋭』とされる第155および第40海軍歩兵部隊が非常に多くの人員を喪失し」これにより「戦闘不能に陥っている可能性が高い」と指摘している。
イギリス国防省は2月20日、ロシア軍は、ウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナへの侵攻が始まってから1年となる2023年2月24日の節目に合わせて戦果を誇示する政治的な圧力に直面している、とも指摘した。
「ロシアは、開戦から1年目の節目に合わせて、バフムトを掌握したと主張する可能性が高い。ただしこれは、戦場での現状を無視した宣言になる」と、イギリス国防省の高官は語り、この春の大規模作戦で巻き返しができなければ、「ロシア上層部内部の緊張が増すだろう」と指摘した。
イギリス国防省とは別の西側の分析でも、ロシア軍は装備の更新に問題を抱えており、ルハンスク州における冬季の攻撃作戦でも、優勢を得るためのリソースに欠けているとみられるとの見解が示された。
主力戦車の半分を喪失
アメリカのシンクタンク、戦争研究所(ISW)は2月19日、ロシアは「膨大な数の」戦車を喪失しており、失った戦車の規模は16連隊に相当するとの見解を示した。それによれば、侵攻以降の1年間で、主力戦車のT-23BとT-72NB3Mのうちざっと1000両を破壊され、500両を奪われたという。使える戦車はあまり残っていないのではないか、とISWは見る。