逆にいえば、一瞬で解決できることはほかの人も簡単にできることが多いですし、オリジナリティが少ないケースがほとんどです。お金を1000円稼ぐという目標を達成するためには1時間アルバイトをするのがいちばん簡単な解決方法でしょう。そこにあまり戦略はありません。

一方で、1000円稼ぐための新しい方法を見つけるためには、アイデアを練る時間と、失敗を繰り返しながらトライする行動が必要になります。この過程自体を評価することでそれが報酬となり、オリジナルのアイデアが生まれたり、もっと大きな成果になったりする可能性があるのです。

試行錯誤の繰り返しがワクワク感を増やす

どんなに努力しても、「結果が出なければ意味がない」とよくいわれます。結果が重視され、そこにいたる過程はあまり気にされません。また、過程を大事にしない人は「結果が出なければなんの意味もない」と考えがちで、過程に費やした時間も無意味なものと思ってしまいます。けれど、たとえ結果が出なくても、その過程で統計学習を通して得られた知識は確実に脳内にあり、その後の行動や判断に大きく影響を与えています。

大黒達也『モチベーション脳』(NHK出版新書)
大黒達也『モチベーション脳』(NHK出版新書)

結果より過程のほうが、圧倒的に内発的報酬があふれています。脳の統計学習から見れば、さまざまな事象の不確実性を減少させることが「結果」ですが、そこにいたるまでに脳は多くの予測エラーを起こし、修正を繰り返しています。その過程において、失敗経験から徐々に不確実性を下げる道筋が立ってくるため、脳は「そろそろ解決できそうだ」と期待が高まります。このワクワク感が最高の内発的報酬であり、内発的モチベーションとなります。

同程度の不確実性の減少でも、一瞬で解決するより試行錯誤を繰り返すほうがワクワク感や期待が込められるので最終的な報酬量はずっと多くなります。結果より過程に目を向けることで努力そのものが楽しくなり、結果も変わってくるのです。

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