人間が「縁起担ぎ」に頼ってしまうワケ
「習慣化」によるモチベーションアップを説明する脳のメカニズムとして、脳のワイヤリング(物事と物事の「つながり」の形成)があります。
ワイヤリングの例として、条件反射があります。条件反射で代表的な「パブロフの原理」は、ベルを鳴らしてから犬にエサを何度も与えつづけると、ベルの音を聞いただけでよだれを出すという実験結果から生まれた理論です。ベルの音を処理する神経細胞と、よだれを誘発する神経細胞がつながる(ワイヤリング)ことで起こります。
習慣化もパブロフの原理を応用するのが効果的といえます。モチベーションを上げるなんらかの行動を何度も続けることで行動とモチベーションがワイヤリングされ、しだいにその行動をしただけでモチベーションも自動的に上がります。
じつは、こういったワイヤリングは、気づかないうちに多くの人が行っています。毎日続けることで行動がルーティン化(習慣化)され、結果的にその行動をしないとモチベーションも上がらなくなってしまうのです。
似た事例に、縁起を担ぐ行動があります。大事な商談のときに必ず身につけるネクタイや服、試合の前に必ず食べるものなど、誰しもひとつはあるのではないでしょうか。ワイヤリング自体が成果に直接的に結びつくということはありませんが、自分自身が安心し、本番に向けて最大限のパフォーマンスを発揮することにつながります。
結果が得られなくても、努力を維持する方法
内発的報酬のひとつとして、努力によって得られる「達成感」があげられます。これは努力が報われ、目的を達成しないかぎり得られませんが、努力は必ずしも報われるとは限らないものです。そのため、目に見える成果としての達成感だけを報酬としては、内発的報酬を得る機会はほとんどなくなってしまいます。
内発的報酬の「やりがい」「行動自体のワクワク感」は結果を期待した努力によって得られたものではなく、努力そのものが報酬である状態です。ある研究によると、努力自体に報酬が得られると、努力の結果にかかわらずモチベーションがとても高まり、努力を維持できると報告されています。