国への財政依存から自立しなくてはいけない

その壁も突破して、若い移住者が地域に定着したとして、次にぶち当たるのは「子どもの教育」だ。過疎地域でも、小学校、中学校までは何とか維持している自治体が多いが、高校となると何時間も離れた都会に出ていかなければならない、という現実にぶち当たる。

移住者である父母は、子どもが中学に進学する頃になると、進学する高校や大学を考えて、都会に戻る選択を考え始める。本土から離れれば島嶼部などはこの傾向が圧倒的に強い。

試験中の教室
写真=iStock.com/smolaw11
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地方への移住を促進するには、教育インフラの整備が不可欠だ。都会よりも良い教育が受けさせられ、子どもの将来にプラスになると思われなければ、田舎暮らしは一時の趣味で終わってしまう。東京に行けば、教育も充実し、仕事もある、というのが現実だ。それを「打破」するには、東京を上回る「良さ」を作り上げる必要がある。

そのために必要なのは、地域の「自立」だろう。国や県に頼らずに、自分たちで魅力ある生活ができ、魅力ある教育が受けられ、人生を豊かにできる仕組みを作り上げることだ。そうした自立する気概を持つことを支援する仕組みを国も考えるべきだ。

ほとんどの自治体が地方交付税交付金を国からもらい、財政的に国に依存している。かつて人口増加時代は、「均衡ある国土の発展」が国の役割だった。いわば弱者を救う「護送船団」である。しかし、一定の豊かさが実現できた今、創意工夫を自らの手で行い、自立する地域こそ応援していくべきだろう。

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