先行投資の重要性を知っているからライブハウスを持った
せっかく軌道に乗り始めたのだから、赤字を出すことは避けたい。
そこで、お金を生み出せる可能性のあるライブハウスを作ることにしました。土日は事務所ライブを開催してお客さんからチケット代をいただく。平日は芸人に安く貸し出せば、家賃分くらいはペイできるのでは? そう考えたのです。
どこの事務所も「ライブハウスが欲しい」と思ってはいるでしょうが、なかなか踏み出すことはできません。
この点、SMAが先行投資に理解のある会社だったことが、良いほうに転びました。ミュージシャンを売り出すとき、最初に大事になるのが宣伝費です。まずたくさんの人に知ってもらうことが大切で、元を取るのはその後……そういう感覚を持つ事務所だったからこそ、私たちも場所作りに先行投資ができました。
事務所ライブの前に必ず「ネタ見せ」をやる理由
Beach Vは「芸人の個性を引っ張り出し、自分では気付かなかった魅力を再確認」する場であることを大切にしています。そのために、事務所ライブでは必ず「新ネタ」を披露してもらいます。
また、事務所ライブで新ネタを出す前に必ず「ネタ見せ」をして、作家やほかの芸人に意見をもらうようにしています。芸人は表現者であるが故に、自分がやりたいだけのネタ、好き勝手にネタを作っても、お客さんには伝わりません。そうではなく、芸人がネタを準備・披露・反省ができる仕組みを作ったのです。
芸人同士でダメ出しをする文化については、2022年の『キングオブコント』で3位だった「や団」の「本間キッド」が次のように言っていました。
「SMAのダメ出し文化を作ったのは、ピン芸人の『野田ちゃん』さんです。
野田さんいわく『芸人にダメ出しをお願いすると芸人の習性的に、面白くないと思われたくないので、良い答えをくれる』そう。この野田さんの気付きが、SMAのダメ出し文化に繋がっている気がします」
また、ピン芸人の「ホットパンツしおり」も次のように言っています。
「SMAには、先輩後輩関係なくダメ出しをし合う文化があります。ほかの事務所にいたときは、先輩にネタの感想を求められてダメ出しをすると、怒られました。先輩は、褒めるだけの感想が欲しかったみたいです。SMAは、先輩だとしてもダメ出しを受け入れてくれるのが良いところだと思います」