早々に営業収支をプラスにしたJR東海

2021年度も赤字が続くJR東日本に対して、JR東海はいち早く黒字化を達成している。

2019年度の売上は1兆8446億円で、前年比1.8%減であった。翌2020年度は8235億円で、JR東日本より下げ幅が大きい55.4%減にまで落ち込んだ(図表2参照)。同社は東海道新幹線の売上が中心となるため、致し方ない数値である。

鉄道事業の減少率はJR東日本、JR西日本がともに40%台であるのに対し、JR東海は62.8%となり、東海道新幹線の乗客の極端な減少が全体の売上減に大きく影響している。

しかし、2021年度の売上は9351億円で13.6%増とし、営業利益では17億円の黒字となった。経常利益では引き続き赤字であるが、事業としては黒字としており、この短期間で驚異的ともいえる。売上はコロナ禍の影響を受けていない2018年度の半分であるにもかかわらず、かつ固定費の負担が大きいインフラ事業でなぜ営業損失を避け、利益を出すことができたのか。

インフラ企業では突出した営業利益率

JR東海はもともと営業利益率がかなり高い企業である。2019年度の営業利益率は実に37.8%。コンサル企業などは高くなる傾向にあるが、インフラ企業としては驚異的である。同じくインフラ企業の東京電力は5%前後、トヨタ自動車や花王などが8%前後、NTTデータが7%前後で、いかに高いかがわかる。

ちなみにJR東日本は16.2%で、JR西日本は12.9%。この2社も営業利益率は高い部類に入るが、それでもJR東海が突出している。

営業利益は単純にいえば売上から事業運営のためのコストを差し引いた金額だ。同社の売上の7割ほどを東海道新幹線が占めるが、この超ドル箱路線がいかに効率よく稼いでいるのかがわかる。新幹線の乗客が回復傾向にあれば、JR東海の営業収支はすぐにプラスになるわけだ。