赤字続きのJR北海道・JR四国の苦境ぶり

JR北海道、JR四国はコロナ禍前より赤字が続き、2020年度からはその赤字額が拡大している。それぞれ1.5倍、1.7倍拡大しており、2021年度はその額が10%前後減少したに留まり、依然厳しい状況が続いている。

2社とも、鉄道収益より企業全体の営業損失の額のほうが大きい。鉄道で稼ぐために、稼ぎの2倍以上のコストをかけていることになる。実際、営業損失額の大半は鉄道事業によるものだ。JR北海道、JR四国も小売業や不動産、ホテル業を手掛けるが、コロナ禍前は、それら事業はいずれも黒字である。鉄道事業の赤字の穴埋めのために関連事業で稼いでいるとさえ見える構図である。

一方、コロナ禍前のJR九州は、営業収支では黒字をたもっている。株式上場のためには必須であった条件で、上場以来継続している。2020年度からは赤字となったが、JR東日本などと比べれば、妥当な赤字額に収まっている。JR九州は鉄道以外の関連事業での収益力が高く、不動産事業では九州で指折りの企業となっている。

JR貨物は、旅客を運んでいないので、売上は安定している。二酸化炭素排出量が抑えられる輸送方法としてSDGsの面でも強みを発揮しており、JRのなかでは存在感が薄いが、利益面では今後も安定するものと考えられる。

収益の22倍のコストがかかる赤字路線

JR北海道の鉄道事業の赤字は、そもそもが赤字路線を多く持つためだ。

2019年3月に廃線になった石勝線(新夕張~夕張間)は平均通過人員が100人を切っており、運輸収入は2017年度が1000万円、乗客が若干増えた最終年の2018年は1800万円であった。最終年は廃線を憂う人たちが乗車したことで売上が上がったと見られ、1000万円が当線の実際の収益力といえる。