「ゾーンに入る」ことで最高の結果が出る

周囲にあるものすべてが生きていて意識を持ち、私と結びついているのではないかと思うようになったのだ。それだけでなく私は、アスリートたちが「時間の流れが遅くなる超越体験」と形容する、いわゆる「ゾーンに入る」ということを何度も経験していた。

レーストラックで走る若い男性アスリート
写真=iStock.com/simonkr
※写真はイメージです

たとえばボウリングやランニングといった運動中に、時間がゆっくりと流れるようになり、いつもの自分ならとうていできないような驚くべき結果を出していた。

そして次第に、自分には「時計の針の進みを遅くできる」強大な力が備わっているのではないかと、思うようになったのだ。

今日では、「ゾーンに入る」ことが自身の能力を最大限に発揮して、最高の結果を出すための鍵であると一般的に認識されているが、私は当時のそうした経験から、子どものころの自分は普通の子どもより優れていると感じていた。

そして、その感覚は正しかったのだ。

時間にまつわる自分の経験が、どうやらまわりの人のものとは違うらしいと気づいた私は、それがなぜだか知りたいと思うようになった。

科学とデータにもとづいて時間を検証する

そうして、古い文献や秘教学校、秘伝の精神修行などを通じて何十年もかけて調べた結果、記憶のなかの自分の経験は新たなものでもなければ、めずらしいものでもないことがわかった。

私が思いがけず身につけた力は、何千年にもわたって実践者たちに脈々と受け継がれてきた、古代東洋での精神世界の教えとまさに同じだったのだ。

だが、西洋世界の住人である私は、こうした経験が本当に可能かどうかを科学とデータにもとづいて検証したかった。そうして、一連の探究で最終的に現代科学に辿り着き、物理学の理論のおかげで、自分の長年の経験について納得することができた。

私が科学から得た知見は、「時間とは物理的であると同時に感覚的なものでもあり、それゆえゴムひものように伸縮するように感じられるときもある」ということだ。

つまりあなたも、時間にまつわる経験の一部を司っている。

時間を操る能力を向上させるための秘訣は、先にも述べた「超越した感覚」の精度を高めることにある。この「超越した感覚」とは、より高い次元で覚醒した状態であり、「スポーツをしている」「重大な危機に直面している」といったさまざまな場面で起こりうる。