※本稿は、リサ・ブローデリック『限られた時間を超える方法』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
時間は物理法則の影響を受けている
時間は、あなたの人生における最大の問題になるかもしれないが、それと同時に、今日の科学における最大級の問題でもある。
時間は、どんな状況でも同じ振る舞いをするというわけではないので、物理学者たちにとっても時間の正体の少なくとも一部は、いまだ謎のままだ。
わかっているのは、時間には科学者が測定できる「物理的な要素」があるという点だ。たとえば、時計の動きで時間を計ることができるし、地球の運動は24時間である1日や、季節の移り変わりをつくりだして時間を前進させる。
その意味では、時間の物理的要素を最もわかりやすく定義づけるのは、地球や宇宙の動きにまつわる私たちの経験だといえるだろう。
私たちが時間を物理的に捉えられるのは、自分や物が動いているからだ。それは地球が場所によって、昼だったり夜だったりすることを考えればわかる。
ニューヨークとシドニーで時差があるのは、地球が運動しているからだ。
地球における現実として、時間は物理法則の影響を受けている。
アインシュタインの画期的な論文
なかでも最大の影響を及ぼしているのは重力だ。
地上の物体から惑星にいたるまで、私たちを取り巻く世界のほぼすべての物の運動は、重力に支配されている。重力は「物質」と「空間」の副産物なのだ。
より詳しくいえば、物質が重力をつくりだしている。
地球が太陽のまわりを回るのも、月が地球のまわりを回るのも、重力によるものだ。
また、重力は時間の流れに多かれ少なかれ関与している。
一方、時間は相対的なものでもある。100年以上前、当時26歳だったアインシュタインは、「特殊相対性理論」という画期的な論文を発表した。
彼の天才的な洞察は「時間はゴムひものように伸び縮みするものであり、運動している物体と、それとは異なる速度で運動している物体とでは、時間の進み方が異なっている」というものだった。
具体的には、あなたが空間内を速く動けば動くほど、あなたよりもゆっくり動いている人に比べて、時間の進み方がより遅くなるということだ。