オムツ定期便はネットでポチるのと同じではない

【ひろゆき】肉を切らせて骨を断つ、みたいな。あと僕、0歳児のオムツ定期便っていうのがすごく面白いなと思いました。保育料とか給食費の無料化はよくありますけど、オムツ定期便っていうのは、他の国でもあんまり聞かないなと。

泉房穂、ひろゆき『少子化対策したら人も街も幸せになったって本当ですか?』(KADOKAWA)
泉房穂、ひろゆき『少子化対策したら人も街も幸せになったって本当ですか?』(KADOKAWA)

【泉】生後3カ月から満1歳になるまで、毎月オムツやミルクなどを配達するサービスですね。これ、ポイントは、配達員がみんな子育て経験がある女性っていうところなんですよ。つまり、見守りが本当の目的なんです。オムツを届けて帰るんじゃなくて、お母さんの話を聞いて、月齢期に合わせたアドバイスをしながら不安を解消してあげる。孤立防止というか、先輩ママと話す時間を提供している感じです。

【ひろゆき】単に「オムツを毎月届けます」って言っても、「それってアマゾンでポチッとするのと同じじゃん」って感じる人も多いと思うんです。でも、オムツを届けるのは表向きの役割で、相談相手と毎月会えるっていうところに本当の価値がある。核家族化していることもあって、子どもの発育状態に不安を覚える人も多い中、相談できる相手がシステムとしてきちんと用意されてるっていうのが、意外と大事な気がしています。

紙オムツ
写真=iStock.com/Irina Lesovaia
※写真はイメージです

【泉】私が以前弁護士だった頃、子どもの虐待案件をよく担当していて、その頃の経験がベースになっています。厚生労働省の統計では、子どもが最も命を落とすリスクが高いのが、0歳から1歳の突然死なんですよ。

【ひろゆき】寝返りできなくて亡くなってしまうとか、ぬいぐるみで窒息しちゃうとか。ベッドが平面になっているかどうかも重要だったりしますよね。

家のドアを開けてもらうためにオムツの大きさが必要だった

【泉】それに加えて、何らかの事故や虐待の可能性もある。死亡するシチュエーションって、大体、お母さんと子どもの2人きりの状態ですし、虐待の可能性がある人ほど外とのつながりを断ちやすいんです。そことどうやってつながって、子どもの状態を確認するか。どうやって家のドアを開けてもらうか。そういう意味では、オムツ定期便は極めて有効なんです。ほら、オムツって大きいから、受け取るときにドアのチェーンロックを外さなきゃいけないでしょ。

【ひろゆき】あ、オムツってそういう狙いもあったんですね!

【泉】閉ざされた家庭のチェーンロックをどうやって開けてもらうかっていうのが、ホンマにネックだったんです。で、オムツ定期便では、ちゃんとドアを開けてもらって、オムツを玄関に置いてくるっていうのをルールとして定めました。そうすれば必然的にお母さんとのコミュニケーションが生まれますし、赤ちゃんの様子もうかがえますから。