目玉政策「5つの無料化」にかかるお金は全体予算のたった1.7%

【ひろゆき】具体的に、子育て支援にどのくらいのお金がかかっているんですか?

【泉】まず明石市の場合、全体の予算が年間で大体2000億円くらいなんです。1年でそのくらいの金額のお金が動いているということですね。で、明石市の目玉政策である「5つの無料化」にかかるのが、ざっと34億円ほど。

【ひろゆき】そんなものなんですね!

【泉】全体の1.7%程度なんですよ。例えば、年収600万円の世帯で、ちょっと多めに2%見積もっても、12万円ですよね。1カ月に1万円。簡単に言ったら、子どもの習い事に月謝で1万円出しているのと同じ感覚ですわ。これと同じことを市でやれば、「5つの無料化」は十分可能なんです。

これね、最初にやり始めた頃は独りぼっちだったんです。でも、2021年頃から、周辺の都市も続々と真似し始めて、今や兵庫県で13の市町が医療費無料化などを実施している。私もびっくりです。「なんや、やればできるやん」って(笑)。最近では、東京23区でも同様に、18歳までの医療費無料化を打ち出しましたよね。そういう意味では、やろうと思えばどこでもできる取り組みだと思います。

問題はコストよりも「どうやって予算に組み込むか」だった

【ひろゆき】へぇー、そのくらいのお金でできちゃうのは意外でした。それって、最初からそんなにコストが安かったんですか? それとも、明石市がやり始めたからどんどん下がっていったとか?

【泉】明石市では医療費が大体15〜16億円くらいですから、最初から予算感は変わってないです。所詮、子育て政策にかかるお金って、その程度なんですよ。ただ難しいのが、予算って、張りついちゃっているでしょ。つまり、すでに決まっている予算を、新たな政策のためにシフトすることが大変で。しかも、一度やり出したら簡単にやめられへん。毎年かかる予算になるから、毎年かかっているどこかの予算から引っ張ってこないといけないので、そのあたりのやりくりは結構しんどかったですね。

【ひろゆき】まあでも、他の都市からしたら、明石市が成功例をつくってくれたので、予算組みがやりやすい部分もあるでしょうね。

【泉】そうだと思います。わかりやすく言えば選挙ですよね。今となっては、「選挙に勝つためには子育て支援」がテンプレートになりつつあるから、公約にも子育て政策を掲げる政治家が増えました。現金なもんですわ(笑)。