15年の経験でようやく役人に太刀打ちできる

世襲議員には、世襲ならではの苦労もあるでしょう。先代が立派であるほど乗り越えるのは大変だし、どうしても比較されるのは仕方ありません。相当な覚悟と決意をもって引き継いだ人でなければ、本物の政治家にはなれません。だから伸びる人は伸びるけれども、ダメな人はダメです。血統書付きの競走馬でも、ダービーで優勝するのは大変な確率です。世襲議員だったら誰でも成功するのかと言えば、そうはいきませんね。

田中真紀子さんは当選1回で、科学技術庁長官になりました。当時、自民党と連立を組んでいた村山富市総理は人気がないから、ネームバリューのある真紀子さんを入閣させることで政権の浮揚を狙ったんです。ところが経験不足が、裏目に出てしまいました。

小泉純一郎元総理も、同じ失敗をしました。若手を大臣に起用すればイメージは新鮮だけれども、役人から見たら、当選3回までの議員なんて海のものとも山のものともわからない。この世界、最低15年は経験を積まないとダメです。そこから先が本当の勝負で、役人と太刀打ちできるようになるんです。

かつての自民党が大したものだったのは、当選5回、国会議員生活をおよそ15年続けて、初めて大臣の椅子が回ってきた。そこまでに積む経験は、大きな強みになっていました。

曇天の国会議事堂
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「父が見せられなかった景色を私が」

私の娘の貴子は、自民党に所属する衆院議員です。二世ですが、世襲ではありません。私はまだ現役だし、地盤も違うからです。2人とも比例北海道ブロック選出ですが、私の地盤は帯広と十勝で、貴子は釧路と根室なんです。

「鈴木宗男の娘」という看板はありますが、プラスとマイナスがあるでしょう。「鈴木宗男は嫌いだ」という人もいますからね。

貴子は去年が36歳の年女で、産経新聞の「吼えろ!! 寅年男・女」というシリーズの中で、インタビューを受けていました(令和4年1月15日)。記事の中で、〈私も将来、この国のリーダーを目指します〉と語っています。

〈鈴木宗男は(受託収賄などの罪で平成22年に実刑判決が確定し、服役した事件の)国策捜査で地獄を経験しました。娘としては「あれがなければ鈴木宗男はどこまで上り詰めていたのだろうか」と考えてしまう。支援者の皆さんにはもっと強い忸怩じくじたる思いがあるでしょう。だから、鈴木宗男が支援者に見せられなかった景色を私が見せてあげられれば、という思いは持っています。

父は24時間365日、政治家です。子育てや子供の権利の話を聞いたことがないでしょう? 経験していないから限界があるのかな。親としては落第です(笑)。しかし、政治家としてはいつかは超えないといけない大きな山です。超えるまでは、父の使えるところを使い切ってやろうと思います〉