HEVのほうが燃費コスパが良い可能性

PHEVにはさらに懸念事項がある。PHEVは家で充電した電気を使い果たしたあとはハイブリッドモードで走らなければならない。

PHEVは大きなバッテリーを搭載しているため、重量がHEVより重くなる。ハイブリッドシステムは同じだから、重量の分だけ燃費は不利になるのだ。

プリウスPHEVの燃費はまだ発表されていないが、同様にHEVとPHEVをラインアップするハリアーの例で見ると、HEVが22.3km/lなのに対しPHEVは20.5km/lと1割ほど悪くなっている。

HEVのプリウスの燃費は28.6km/lである。レギュラーガソリン価格は1リットル=155円(1月22日の近所のスタンドの価格)として単純計算すれば1kmあたりのコストは5.4円となる。なんと、PHEVのEVモードの電気代よりかなり安く、日産リーフの5.1円に迫る数字だ。

ハリアー同様、PHEVの燃費は1割悪くなると仮定すれば、PHEVのハイブリッドモードでのコストは1kmあたり6円程度となる。つまり、PHEVでもガソリン主体の運用のほうがコスト安となるのだ。PHEVを買う意味は、加速性能のみとなる。

現在のBMWの燃費、また以前借りたヤリスハイブリッドの燃費から考えると(「『脱炭素へ、今必要なのはEVよりハイブリッド車』欧米が絶対認めたくない“ある真実”」参照)、私の乗り方だとカタログ燃費に近い燃費が達成できると考えられるので、HEVを選べば現在のBMWより1キロあたり2円くらい節約できる計算だ。PHEVでも1.5円くらい安くなる。

プリウス 2.0L PHEV プロトタイプ/内装
写真提供=トヨタ自動車
プリウス 2.0L PHEV プロトタイプ/内装

補助金でPHEVのほうが安く買えるケースも

価格面ではどうだろうか。希望の装備を考えると、Zグレード一択となる。

HEVの2WDモデルの価格は370万円、PHEVモデルは460万円である。加速性能のために90万円は高すぎるが、PHEVには補助金が出るのだ。

私は神奈川県に住んでいるので、政府から55万円、神奈川県から20万円、合計75万円の補助金が期待でき、その差は15万円になる。東京都の補助金は60万円なので、もし東京に住んでいればPHEVのほうが安く手に入るのだ。

PHEVにはなぜ補助金がつくのか。PHEVは電気主体の運用ができるのでCO2削減に貢献するというのが第一義的な理由だが、前述のようにガソリンだけで運用したほうが安上がりとなれば充電して使う人はあまりいないだろう。