褒められるのを避ける行為は、容姿だけにとどまりません。仕事でうまくいって良いフィードバックを受けても、「とんでもない」と評価を受けとらないような返答をしたり、「相手がお世辞を言っている」と思い込んで褒められていないことにします。褒められる行為を受けとらないほうが安全である、と無意識の深い部分で信じているからです。
「人から認められることは危険である」という思い込みをAさんが手放さない限り、人からの承認を受けとったり、仕事で成功したりすることはありません。今まで慣れ親しんだ無意識のパターンを手放すのも一つの試練です。
Bさんは出版社に企画書が採用されていたのに、1年以上原稿を書くことができず、結局出版の話は頓挫してしまいました。
Bさんは出版して多くの人の目に自分の書いたものが晒され、批判されることが怖かったと言います。出版という光を手に入れるためには、批判されるリスクという闇も同時に手にする覚悟が必要です。
誰からも批判されずに成功することは不可能だ
Cさんには、自分の仕事がうまくいっていないときにいつも励ましてくれる友人がいました。しかし苦労を重ね、ようやくビジネスを成功させたとき、その友人は途端に冷たくなったと言います。
人間関係に上下関係を持ち込む人は、相手が不幸なうちは自分が上の立場でいられるからいいのですが、相手が成功すると自分が負けて下の立場になったような気がしてしまうのです。さらに人には現状維持メカニズムがあり、変化を嫌います。その友人は、不幸なCさんのまま、友達でいたいと思っていたのです。
自分が成長したり、成功したりしたときに心から喜んでくれない相手とは、お別れしなければならないときがきます。それは寂しさを伴うかもしれません。それも試練です。
ケント・M・キースは著書『それでもなお、人を愛しなさい』(早川書房)の中で「成功すれば嘘の友達と本当の敵を得ることになる。それでもなお、成功しなさい」と言っています。
ビジネスで成功すると応援してくれる人はいますが、同時に批判されたり、妬まれたりすることも増えます。自分のやりたいことに反対する人が現れたとき、「反対されるから諦める」のか、「反対されるのは想定内。自分はなんとしてもやり遂げる」と思うのか、自分の本気が問われます。
光と闇はいつもセットです。成功すると嫉妬されたり、批判されたりすることがあります。誰からも批判されずに成功することは不可能です。
自分の達成したい目標の光(良い部分)だけを手に入れたいと願うのではなく、闇(悪い部分)も引き受ける覚悟を持つことが大切です。それが目標を達成し、成功することの本質だからです。