※本稿は、藤本梨恵子『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
真のライバルとは?
恐るべき競争相手とは、あなたのことをまったく気になどかけず、自分の仕事を常に向上させ続けるような人間だ
(ヘンリー・フォード 企業家)
ライバルのことが気になってしかたがない、なんてことはありませんか?
Aさんはプライドが高く承認欲求も強いので、部署で一番自分が評価されないと気に入りません。評価されるためには、自分のスキルやコミュニケーション能力を磨けばいいのですが、ライバルの動向ばかりが気になり、自分の成長がおろそかになっています。
例えば、ライバル視している相手にかかってきた電話や、相手が社内の他の人と話していると、必ず手を止めてその話を聞いています。さらに、その相手の粗をいつも探して、批判したり、攻撃したりするのです。
ビジネス界は競争社会です。そのため、比較意識が強い人は同僚をライバル視して、対抗心を燃やしやすいのです。
相手を意識して、自分を成長させる人はいいのですが、自己肯定感が低い人は、相手がうまくいっていると自分の劣等感を刺激され、妬んだり、嫌がらせをしたりします。相手の成功は自分の失敗を意味するからです。
だからライバルが「褒められていないか?」「他者から高い評価を得ていないか?」といつも気にして、自分のことに集中できません。そして、相手が成果を上げようものなら、相手の批判を周りの人に繰り広げます。相手の足を引っ張り、批判して、貶めて、自分のほうが優れていると思い込むことは、努力するよりはるかに簡単にできるからです。
他人を気にせず、自分を磨くことに注力する
自動車の育ての親と言われるヘンリー・フォードは、ライン生産方式で自動車の大量生産に成功し、自動車の大衆化を実現しました。産業構造を変え、人々の労動環境も変え、自動車生産を起爆剤にアメリカ全土を豊かにしました。
彼は「恐るべき競争相手とは、あなたのことをまったく気になどかけず、自分の仕事を常に向上させ続けるような人間だ」と言っています。
同僚からライバル視され、提案をすればことごとく文句を言われ、陰で悪口を言われ続けたBさん。でも彼はそんなことに気を留めず、それどころか、競合他社について調べ、自社の弱点を補強するためのプランをどんどん提案し、成果を上げ、上司からも信頼されていきました。自分の仕事を向上することに注力したのです。