50戦無敗、ボクシング元世界5階級制覇王者のフロイド・メイウェザーは神業的なディフェンス技術で王座を守ってきました。その驚異的な成績の理由は、他でもない彼の練習量にあったのです。練習の鬼と言われるほど、真摯しんしに練習にとり組んだ彼は、

「お前が休んでいるとき、俺は練習している。お前が寝ているとき、俺は練習している。お前が練習しているとき、もちろん俺も練習している」

という名言を残しています。この練習量こそが、メイウェザーの技術力と自信を支えているのです。

最近の格闘技は、ライバルの戦い方などを映像で研究することが当たり前になっています。もちろん、ライバル研究も必要ですが、何よりも、圧倒的に自分自身に向き合い、自分を鍛え、磨いた人が王者に君臨できるのです。

大切なのは、他人を気にしすぎて、相手の成功を羨んだり、妬んで足を引っ張ったり、誹謗ひぼう中傷したりすることではなく、自分を磨くことに注力することです。

目標を達成した人物に「ライバルは誰ですか?」と聞くと、「自分です」と答える方が多いのは、本当に戦うべき相手が他人ではなく、自分の自信のなさや、目標から遠ざける自分の考えや行動だということがわかっているからです。

真のライバルとは、他人ではなく、自分自身なのです。

ボクサー
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成功という名の試練

成功さえも試練である
(稲盛和夫 実業家)

「人は闇よりも光を恐れるものである」。私の心理学の師匠が話してくれた言葉です。

この言葉を聞いた当時、私は「そんな、ばかな!」と思いました。みんな幸せになりたいし、誰もが成功したいと思って頑張っているのに、幸せや成功を恐れるわけがないと思ったのです。しかし、潜在意識の仕組みを学ぶと、人は失敗や不幸より、成功や幸せを恐れることが真実だとわかったのです。

私の知人のAさんはとても美しい方です。でも、人から容姿を褒められることをひどく嫌います。話を聞くと、実はAさんには姉がいて、幼い頃からAさんが近所の人から「かわいい妹さんね」などと褒められると、あとで姉から意地悪をされたというのです。それが繰り返されるうちにAさんの中には、「褒められる=あとで酷い目に遭う」というX=Yの公式が生まれ、褒められるのを嫌う・避けるという条件づけができてしまいました。