日帰り客の売り上げが6倍に
――サウナを導入したことによって、売り上げはどのくらい伸びたのでしょうか?
【林】日帰り入浴のお客さまの売り上げがリニューアル前と比較して約6倍になりました。リニューアル直後から売り上げが急増したので、男女の浴室にそれぞれ100万円ずつ、合計で200万円かけたリフォーム費用も、2~3カ月で回収できました。
――リニューアル直後から大きな反響があったんですね。それほど急激に売り上げが伸びた理由はなんだと思われますか?
【林】私がサウナにハマった直後、私が運営している十勝の2世経営者を集めた会のメンバーにサウナを勧めて、メンバーの半分程度をサウナーにしてしまったことが大きいと思います。
彼らはすっかりサウナ好きになっていますから、ホテルのサウナをフィンランド式に改装したことをSNSで発信すれば、喜んで来てくれる。しかも、彼らは地域のなかでも影響力のある方ばかりなので、評判がどんどん広まっていきました。
親会社である十勝毎日新聞社が取り上げてくれたことによる宣伝効果もあるとは思いますが、やはり地域コミュニティーに事前に働きかけていたことは大きかったと思います。
サウナ付き客室はつねに完売
――サウナ付き客室も人気のようですが、工夫されている点はありますか?
【林】サウナ付き客室はもともとあったのですが、2020年にロウリュができるサウナを導入しました。浴室からテラスまでの床を浴室と同じ素材のものにして、水風呂から上がった状態のまま外気浴できるような工夫もしています。海外に行ったような気分を味わっていただけるよう、フィンランドで滞在したホテルの写真を基に、客室のテイストを作り上げました。
ちなみに、現在は3カ月先までの予約がほとんど埋まっていて、サウナ付き客室の稼働率が100%の月もあります。
――いつごろから、サウナ付き客室の人気が出始めたのでしょうか?
【林】2020年のリニューアル後から3~4カ月からは安定して予約が入っていました。やはりSNSを通じて広がっていくので、結果が出るのが圧倒的に早いんですよ。
サウナ好きがサウナ情報を投稿するポータルサイト「サウナイキタイ」に口コミが寄せられたり、サウナ好きのYouTuberの方々が番組内で紹介してくれたりしたことも大きかったと思います。メディアの取材も増えて、サウナを改修する以前は1年に1回あるかないかだった取材が、2021年は12回以上にまで増えました。
これもやはりSNSを利用する若年層ならではのプロモーションの仕方で、広告を打つしかなかった従来の広報のやり方とは異なりますよね。ただ、いくら30~40代のお客さまが増えたといっても、私どもの売り上げの60%を支えてくださっているのは60代以上のお客さまですから、これからもバランス感覚を大切に運営していきたいと思っています。