コロナ禍に入ってからも宿泊の売り上げは伸びている

――浴室のサウナを改修した2019年の翌年にはコロナ禍に突入しましたよね。コロナ禍の影響は受けなかったのでしょうか?

【林】コロナ禍になってからのほうが宿泊の売り上げはむしろ伸びましたね。2021年の客室稼働率は年間を通して80%だったんですよ。観光庁が2022年7月に発表した宿泊旅行統計調査によれば、2021年4月の客室稼働率は国内全体で31.0%、2021年5月の客室稼働率は国内全体で26.7%ですから、コロナ禍の影響をほとんど受けずに売り上げを伸ばしていたといえます。

サウナを取り入れたことでホテルの売り上げが安定するようになった、と語る林社長
撮影=プレジデントオンライン編集部
サウナを取り入れたことでホテルの売り上げが安定するようになった、と語る林社長

もともと北海道のホテルの売り上げは季節変動が激しくて、私たちのホテルでも6~10月のグリーンシーズンの客室稼働率が80%でも、11~4月にかけての客室稼働率が50%だったということも少なくありません。そんな中、サウナを取り入れたことで年間を通して安定して売り上げを立てられるようになったのが大きな変化ですね。

日帰りでサウナを利用される方も増えて、土日はロビーで2時間お待ちになる方々もいらっしゃいました。

サウナパスポートもほぼ完売

――多くのホテルがコロナ禍による打撃を受けた中で、売り上げが伸びた理由は何だったのでしょうか?

【林】コロナ禍で人が移動できなくなることを見込んで、先手を打っていたからだと思います。浴室サウナの改修は2019年でしたが、コロナがはやり始めてからの2020年4月に十勝サウナ協議会という組織をつくって、加盟しているサウナ施設をお得にめぐれる「サウナパスポート」を販売する準備をしていました。サウナパスポートは1000枚限定で販売したのですが、緊急事態宣言下でも900枚弱売れましたね。

ちなみに、十勝サウナ協議会からマーケティングデータをもらったら、男女比は6:4、年代は20~40代と、まさにフィンランドで聞いた客層とおおむね合致したんですよ。全く違う国でありながらデータが似てきているということで、改めて自信につながりました。