フィンランド式のサウナツアーにチャンスを見いだす

【林】さらに、現地のスタッフの方に「どういう人が来るんですか?」と聞いたら「世界中から30~40代の方が来て、男女比は6:4だ」と教えてくれて、繁忙期は11~4月だと言うんです。

先ほどお伝えしたように、当ホテルのメインの客層は当時50代以上でしたし、11~4月は、ちょうど北海道の閑散期に当たります。サウナをパッケージ化して導入すれば、客層転換ができて、閑散期の補塡ほてんができるかもしれない。しかも、景観や食文化なども似ているとなれば、勝算はあるのではないかと感じました。

1週間で常連客がいなくなった

――サウナの本場・フィンランドから帰ってきて、最初にどのような施策を打たれたのでしょうか?

【林】まずは男女の浴室をフィンランド式にならったロウリュサウナに改修して、2019年6月にオープンしました。すると、リニューアルからまもなく、常連客の方のほとんどがぱったり来なくなったんです。

――それは驚きですね。常連客が離れたことを実感したのは、いつごろですか?

【林】リニューアルから1週間です。私はホテルのサウナに毎日入っていたのですが、最低でも1週間に1度は日帰り入浴されていた常連客の方の6~7割は来なくなった印象でした。

その多くは、これまでの売り上げのほとんどを支えてくれていた60~80代のお客さまでした。一方で、常連客の方がいらっしゃらなくなってまもなく、今度は30~40代のお客さまが増えてきまして、客層が転換しつつあるのを肌で感じましたね。

かねて悩んでいた「森のスパリゾートとはなんぞや?」という自分への問いかけの答えも、若いお客さまにも来ていただきたいというホテルの中長期的な課題の解決策も、サウナにヒントがあったんだと気づけたことは自分にとっては大きなことでした。