肝硬変やアルコール依存症になりやすい

女性が男性に比べて体質的にお酒に弱いのは、なぜでしょうか。

お酒の強さには個人差がありますが、それはアルコールの分解能力が人によって異なるためです。飲酒により取り込んだアルコールは、体内の水分や血液中に溶け出します。女性は男性と比べて体脂肪が多く、体内の水分量が少ない傾向にあることに加え、体も小さいことから、男性と同じ量の飲酒をしても、体内のアルコール濃度が高くなりやすいのです。さらに、女性ホルモンがアルコールの代謝を妨げるため、女性は男性よりもアルコールの分解に時間を要します。このため女性は男性よりもアルコールによる健康影響を受けやすく、体質的にお酒に弱い傾向があるのです。

こうしたことから、女性は男性の3分の2程度の飲酒量で肝硬変に至ること、アルコール依存症については男性の半分ほどの期間で発症することがわかっています。

飲酒は女性の健康にどう影響するか

以下、女性特有の健康リスクについてご紹介します。

・PMSを悪化させる

PMS(月経前症候群)はエストロゲンやプロゲステロンという女性ホルモンの分泌と関連が深いことがわかっていますが、これらの女性ホルモンにはアルコールの代謝を抑制する作用があります。月経前の体内では、エストロゲンの分泌が急激に増加し、続けてプロゲステロンが増加します。そのため月経前は普段よりもアルコールの影響を受けやすくなるのです。

飲酒がPMSになる可能性を1.45倍高めること、特に過剰なアルコール摂取をすると1.79倍高めるという研究もあります(※1)。PMSの症状に悩んでいる人の中には、「お酒を飲むと一時的に症状が楽になる」と、月経前に飲酒をされる方がいるかもしれません。ですが、依存症につながる危険もありますので月経前の飲酒は、むしろ普段よりも控えることをおすすめします。

※1 del Mar Fernández, et al, Premenstrual syndrome and alcohol consumption: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open. 2018 Apr 16

腹痛で苦しんでいる女性
写真=iStock.com/Pornpak Khunatorn
※写真はイメージです
・乳がんリスクを高める

乳がんは、日本人女性が罹患りかんするがんのうち最多の割合を占めます。男性も発症することはありますが圧倒的に女性の発症が多いがんです。アルコールが危険因子となるがんは多くありますが、乳がんもその一つです。

国内における飲酒習慣と乳がんの関係を調査した研究をご紹介します。乳がんを罹患した人を飲酒習慣ごとにグループ分けしたところ、アルコール換算で週に150g以上飲酒するグループでは、飲酒したことがないグループに比べ、1.75倍リスクが高いことがわかりました(「飲酒と乳がん罹患との関係について」国立がん研究センター 多目的コホート研究)。

乳がんには、女性ホルモン(エストロゲン)ががん細胞の増殖に深く関わる「ホルモン依存性」のものと、そうでないものとがあります。エストロゲンはアルコールと同様、肝臓で代謝されるため、お酒を飲むとエストロゲンの代謝がおろそかになり、血中のエストロゲン濃度が上昇します。これが乳がんリスクを上げてしまう可能性があるのです。