「総理に命を懸けよう」という閣僚はいるのか

政治はバランスです。閣僚人事に関して、総理が使いたくない人材でも使わざるを得ない場合が、多々あります。総裁選挙で支持してくれた有力派閥の会長から「ウチの派閥のこの人を閣僚に」と推されたら、なかなかノーとは言えないんです。

そういったしがらみや派閥の力学という視点から現在の閣僚の顔ぶれを見ると、「この総理に命をかけよう」と考えている人が何人いるのか、と思えてなりません。

政界の内側からその点を見れば、党内第四の派閥の長にすぎない岸田総理が同情される理由でもあります。けれども国民からは、「親分がしっかりしていないから、大臣がだらしないんだ」と見えてしまうわけです。

防衛費増額の前にできることがある

唐突に発表された防衛費の倍増も、支持率が落ちた原因のひとつです。やはり議論が足りなかったし、岸田総理がいつも口にする「丁寧な説明」がなされたとはいえません。

庶民は素朴に、物価対策をなんとかしてくれ。年金を少し上げてくれ。教育費を補助してくれ。と思っているはずですよ。その感覚から乖離かいりしすぎです。

日本というのは不思議な国で、タカ派が強気に出れば引きずられてしまう傾向があります。中国や北朝鮮と外交の力で仲良くできれば防衛費を増やさずに済むことを、よく考えてもらいたいものです。

しかも財源について、国民に向かって「皆さん、こういう理由で防衛費をこれだけ上げなければなりませんから、税金の負担をお願いします」と頭を下げるならわかるけれども、いきなり復興税から転用するとか、法人税を上げようというのはよこしますぎます。