リニア反対騒動で浮き彫りになる県とJRとの確執

「川勝知事の嘘のせいで、国家プロジェクトというべきリニア計画がこんなにも遅れ、最悪、中止になる恐れもある。この由々しき事態を静岡県民にもっと知ってほしい」。これが執筆に至ったきっかけだ。

小林一哉『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘』(飛鳥新社)
小林一哉『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘』(飛鳥新社)

川勝氏は現在4期目を迎え、県民からは支持を得ているようにも見えるが、実際どうなのか。

「静岡県民は平和ボケしているんです。静岡は昔から豊かな土地でした。富士山があって、海や川もあり、水には困らない。駿河湾の魚や、お茶など名産も多く、気候も良くて住みやすい。幸せに暮らせる土地だからこそ、現状に満足しがちで保守的。危機感を持たない人が多いのだと思います。知事が嘘をついているなんて、想像もつかないでしょう。そんな県民に事実を突きつけて、この問題に一石を投じたい」と力強く語る。

リニア反対騒動で浮き彫りになる県とJRとの確執。なぜ川勝氏は頑なにリニアを認めないのか。そこには県側がかねてよりJRに熱望している「静岡空港新駅」との関連性が見え隠れする。これについても、確執の根源として本書で考察されている。

日本経済の重要な役割を担うリニア中央新幹線。さらなる発展のために、早期の開業を願ってやまない。

小林一哉
1954年静岡県生まれ。早稲田大学卒業後、静岡新聞社入社。政治部、文化部記者を経て2008年に退社。その後、地域ニュースサイト「静岡経済新聞」を立ち上げ、現在は雑誌「静岡人」編集長。著書に『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太 「命の水」の嘘 』(飛鳥新社)
(撮影=クロダユキ)
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