若い皇族を確保するための3つの提案

ただ、海外訪問や皇室会議の運営など公務の担い手や潜在的な皇位継承候補の確保のためにも、今世紀の半ばと予想される悠仁さま即位の段階で、ほかに若い皇族がおられないのはよくない。

そこで、報告書では以下の3点が提唱された。

①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること
②皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること
③皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること

①は、佳子さま、愛子さま、場合によっては三笠宮家、高円宮家の未婚の女王さまが結婚したあと希望されるなら、皇族としてとどまることを可能にするが、結婚相手も子供も皇族にはしないということだ。これは、江戸幕府第14代将軍徳川家茂の御台所になった和宮(仁孝天皇の第8皇女)が引き続き皇族であったのに対し、その夫の家茂は皇族とされなかったことを前例としている。

「現在の内親王・女王殿下方は、天皇および皇族以外の者と婚姻したときには皇族の身分を離れる制度の下で人生を過ごされてきたことに十分留意する」というのは、佳子さまも愛子さまも、皇族としてとどまらない制度の下で育てられ、人生設計を考えておられるので、ご本人の希望があればということにとどめた。

旧宮家にスポットが当たる可能性もある

②は、「皇族が養子を迎えることを可能とし、養子となった方が皇族となり、皇族の役割、皇室の活動を担っていただく」「皇族が男系による継承を積み重ねてきたことを踏まえると、養子となり皇族となる者も、皇統に属する男系の男子に該当する者に限ることが適切である」とした。

具体的には、常陸宮殿下、三笠宮家や高円宮家の方々が養子をとるということだ(宮家でなく皇族が養子をとる)。未婚・既婚は問わない。当事者の合意を前提にすることによって、旧皇族といわれる方々のなかで誰が該当するか優先順位をつけるという難問を避けられるメリットがある。

皇室の構成
皇室の構成(出典=宮内庁ホームページ

というのは、すべての旧宮家(終戦時点で11家)は伏見宮家とその分家なのだが、そのうちどの家が優先されるべきかは、一概には決めがたいからである。

長子系(賀陽)ほど優先すべきというだけで割り切れず、かつて嫡流と見られていたのはどこか(伏見)とか、母系で明治天皇や昭和天皇の血を引いている宮家(北白川・朝香・竹田・東久邇は明治天皇の女系子孫で、東久邇はそれに加え昭和天皇の子孫でもある)のほうが好ましいともいえる。

さらに、本人の年齢、資質、意向、家族構成も大事なので、双方の意向が一致したら養子にするということだ。