日本の皇室はこれからどうなっていくのか。評論家の八幡和郎さんは「悠仁さまが次世代の陛下になるのが既定路線だが、その次の世代の皇族を確保する方法を真剣に検討しなければいけない時期にある。皇位継承の潜在候補として100人程度は確保すべきだろう」という――。
上皇ご夫妻に誕生日のあいさつをするため、仙洞御所に入られる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=2022年12月1日、東京都港区[代表撮影]
写真=時事通信フォト
上皇ご夫妻に誕生日のあいさつをするため、仙洞御所に入られる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=2022年12月1日、東京都港区[代表撮影]

悠仁様の帝王教育は順調に進んでいる

マスコミの世論調査では女性天皇を容認する声が過半数を占め、「愛子天皇待望論」というものが週刊誌などで見受けられる。しかし、秋篠宮殿下がショートリリーフを務められるかどうかは別として、皇室では悠仁親王が次世代の陛下というのが既定路線で、それを前提にすべては動いている。

悠仁さまの成長ぶりに不安はなく、学業も順調だし、帝王学の習得にも秋篠宮皇嗣殿下・妃殿下が熱心に取り組まれ、幼い頃から励んでおられる(『月刊Hanada2月号』に詳しく書いた)。

一方、天皇、皇后両陛下は愛子さまの教育について、将来の女帝といった特別の配慮はされていない。もちろん、悠仁さまのあとに男系が続かなかったら女性天皇や女系天皇も選択肢であろうが、候補になり得るのは悠仁さまよりあとに生まれた方である。

愛子さまも含めて現在の内親王や女王を天皇にというのは、皇族の男性がなんらかの事情で誰もおられなくなって、新しい皇室典範を制定する場合だけなので、「待望論」という形で語るのが適切とは思えない。

悠仁さまを廃嫡するという話はどこにもない

2022年11月には元NHK記者の岩田明子氏の「安倍元総理は『愛子天皇』を認めていた」という記事が話題になった。

だが、記事の内容は、悠仁さまのご誕生前に一代限りで愛子天皇がありうると当時の安倍官房長官が漏らしていたとか、悠仁さまがお子様がないままおられなくなった状況での選択肢としての話である。悠仁さまを廃嫡してといった話ではないから、誤解されやすいタイトルを編集部がつけただけだ。

「女性宮家」(民間人と結婚した女性皇族を当主とした宮家)というかたちで皇族女性方に結婚後も皇室に残ってもらおうという提案はあったようだ。

これについても、主要政治家で悠仁さまを廃嫡して、愛子さまなどを天皇にしようと主張している人はおらず、基本的には、悠仁さまに跡継ぎがなかった場合を念頭に、女系の皇位継承も可能なようにしてはどうだということに過ぎなかった(女性宮家は基本的にはその夫や子供も皇族としようという話だったから、これが実現していたら小室圭氏も殿下になっていた)。