なぜ思春期の子どもは不安定なのか。心理療法士のイザベル・フィリオザさんは「思春期の子どもの脳は大きく変化しており、そのために心もデリケートでナイーブになる。脳の変化の過程では、周囲の環境の影響を受ける。とくに親の対応は重要なので、注意が必要だ」という――。
※本稿は、イザベル・フィリオザ『12~17歳 子どもの気持ちがわかる本』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
思春期の脳は「大規模工事中」
思春期の子どもは2年間で、14~24センチも背が伸びます。成長は足の指先のような末端から始まって、手脚、それから胴体と続きます。目に見える変化として、皮膚が厚くなり、顔がニキビだらけになる子もいます。髪が脂っぽくなり、胸がふくらみ始め、体毛が生えます。
他にも汗の量が増え、ホルモンのせいで強い匂いを発散するようになります……。女の子の声は静かに変化しますが、男の子の声は、しゃがれたり出しにくくなったりする時期を過ぎて、劇的に変化します。
どこが変わったか見た目にはわからなくても、感情や行動の上で、観察できる変化もあります。
思春期は、大規模工事です。特に、脳は工事の真っ最中。これは欠陥などではなく、驚くほどの変化なのです。この時期の子どもは、思考、学習能力、芸術的創造力、社会化の領域で華々しい進歩を遂げるのですが、その他の部門はまだそれほど機能していません。
心も体もデリケートでナイーブになり、できていたことができなくなってしまうということも見受けられる時期ですが、これはなぜなのか、脳の発達という側面を見てみると納得できます。