11~12歳で最高潮を迎える前頭前野の成長

脳には灰白質かいはくしつと白質という2つの色の部分が見分けられます。灰白質は脳細胞、ニューロン(脳を構成する神経細胞)、ニューロンの樹状突起、神経膠しんけいこう細胞の集合体で構成されています。脳周縁部の皮質を成していて、脊髄の中を走っており、この物質は神経核を形成している脳の深層部にも見られます。

白質の名前は、「ランヴィエの絞輪こうりん」と言われる隙間を残しながら、絶縁体のさやのように軸索じくさくの周りを囲んでいる白っぽい脂肪から成り立っています。神経インパルス(神経線維によって伝達される電気的・化学的変化)は絞輪から絞輪へジャンプしながら伝わるので、速度が非常に速いのです。

女の子では11歳頃、男の子では12歳頃まで、ニューロンが増え、連結を続けます。灰白質が増えると、脳の皮質が厚みを増し、経験と学習によって多数のルートが描かれます。前頭前野の灰白質形成は、11~12歳で最高潮になります。剪定せんてい(無駄な部分の刈り込み)を前に、前頭前野は非常に活性化するのです。

こうしてできたルートは、時にやや複雑で、同じ応答に導くいくつものルートがありえます。そこで、効率を上げるため、脳は領域の再編成に取りかかるのです。道のりを最適化するため、脳は剪定と髄鞘ずいしょう形成という方法を取ります。

剪定によって、ほとんど使われていないルートや、回りくどいルート、重複しているルートが閉鎖されます。髄鞘形成はいわゆる高速道路の建設のようなもので、ミエリンしょうが軸索という長い神経線維を包んで、神経インパルスが超高速で移動できるようにするのです。

最適化するためにニューロンの数が減る

白質が増え、ニューロンの数が減ることで、灰白質はだんだん薄くなります。枝打ちされたばかりの木はよく茂っていませんよね? それを考えれば、ティーンエージャーが、期待される能力を直ちには使えないことがおわかりでしょう。一部の能力については、幼い時にはマスターしていたのに、できなくなってしまうことがあります。新しい高速道路が開通すれば行程は早くなりますが、それまでの間いくつかの小さな道が循環しなくなったり、他のルートが過密状態になったりしますよね。

要するに、影響を受けやすいデリケートな時期なのです。というのも枝打ちは当てずっぽうにされるものではないから。もっともよく利用される道は強化され、その他は廃止されます。思春期の子どもとその子を取り巻く環境との相互作用が、まさにその子の脳の回路を形成するのです。

この改修工事によって、ティーンエージャーは、子ども時代に作られた道を再び訪れたりもします。そのため、もう意識されていなかったにもかかわらず、古い傷が復活することがあって、思春期の子どもはこの理由のわからない苦しい気持ちを、愛着の対象、特に主要な愛着の対象である母親(あるいは生後9カ月間に主に世話をしてくれた人)に投影する傾向があります。