探すのは不倫相手ではなく、話し相手

まず根本的に注意しなくてはならないのが、既婚者マッチングアプリは、イコール不倫系アプリではないということです。既婚者マッチングアプリのほとんどが、基本スタンスとして不倫を推奨しておらず、不倫を助長すること自体をNGとしています。

既婚者同士の出会いの場を作っておきながら、不倫は推奨していない⁉

と、確かに混乱を呼ぶスタンスです。

これは、最終的に体の関係を持つことができないといっているわけではありません。あくまでも交際に至るための基本スタンスの話です。

想像してみてください。もし職場や習い事、またはこどもの学校のPTA活動といった場所で、家庭もあり子供もある人間が、ギラギラと出会いを求めていたらどうでしょうか? ドン引きされてハブられるのは必須ではないでしょうか。ネット上でも同じこと。既婚者には、“建前”が求められるのです。もちろん、運営サイドが不倫を助長していると批判を受けないためというのもあります。

つまり、既婚者マッチングアプリでは不倫相手を探すことだけが目的なのではなく、配偶者との関係における悩みを相談したり、既婚者ならではの孤独感を分かちあったりと、既婚者同士でなければ分からない問題についての話し相手を探している場合も多いのです。とはいえ、相談に乗っているうちに信頼感が生まれて、その先の関係に発展するというのも王道のひとつではあります。

つまり、既婚者マッチングアプリは、「既婚者同士が出会ってコミュニケーションをとる」もので、その先に、もしかしたら交際が待っているかもしれないけれど、運営側は関知しませんというスタンスなのです。

手すりで互いの手を寄せている、それぞれ結婚指輪をはめた男女カップル
写真=iStock.com/Carolyn Horlings
※写真はイメージです

「老後は新しいパートナーと趣味を楽しみたい」

現在、62歳になるTさんは、定年まで勤め上げた会社を引退後、再雇用という形で今もフルタイムで勤務しています。働いているとはいえ、現役バリバリの頃と違い、定時で終わり、土日もしっかり休めるため、プライベートも充実させたいと考えていました。

また、妻とも家庭内別居のような形が長く続いており、せっかくなら定年後の生活は、新しいパートナーと趣味を楽しみたいと考えていました。

「同世代の友人も多くは、妻とは長年セックスレスであるとか、子ども以外の話をしたことが何年もないという状態。フィリピンパブや風俗で遊んで恋愛気分を楽しむ人もいますが、私の場合は、継続的にお付き合いしてけるような人と出会いたかったんですよね」